(→「その8:水沫の見た夢」より) いまだ町に重くのし掛かる莫大な負債。かつて賑わった、今や物言わぬ廃墟。風の音ひとつ無い静寂の中、大鰐の日は静かに沈んでゆく── (スパガーデン 湯~とぴあ その1~8 了)...
(→「その7:休憩所・遊戯所」より) 前回記事のアルバムの続きを見ていこう。 横断幕の「南津軽 錦水」というのは、向こう側に見えた現役ホテル「星野リゾート 界 津軽」のオープン時の名前のようだ。湯~とぴあの閉鎖以降にホテルが星野リゾートに売却され、その際に名称変更されたのだろう。 ちなみに今ここは、最低でも大人一名一泊3万7000円からの高級ホテルである。 歌手を呼ぶなど盛大にパーティ...
(→「その3:温泉設備」より) 男女内風呂の合流部から階段を上り、今回はいよいよ当廃墟のメイン設備である屋内プールを見ていく。 ……これは凄い。 ドームの天井や壁は全面ガラス張り。まさにバブル。 観葉植物なんかも育てちゃって。 今はキノコの苗床だけどね。 しかしまるで絵に描いたように綺麗なキノコだな……。廃墟に生えるキノコとか大体が見た目からして胡散(う...
(→「その1:ウォータースライダー建屋内・他」より) 今回はサンテラスから長い階段を上り、スプラッシュキャニオンまでを見ていく。 サンテラスから上部の施設群を見上げる。往時はこのサンテラスに椅子やテーブル、パラソルが設置され憩いの場となっていたようだ。 階段を上り、スプラッシュキャニオン(大型ウォータースライダー)の出発地点へと向かっていく。影によってできる幾何学(きかが...
(→ 本物件概説「小さな温泉町に残されたバブルの大きな爪痕」より) 今後は全8回に分けて、廃墟の各区画ごとの詳細な探索記録を紹介していく。 駐車場に着いてまず目にする風景がこちら。施設全体を見渡せるここからの眺めが一番見応えがあり、来場者をワクワクさせるような演出には気を遣っていたことが分かる。当然、今の私もとても興奮している。 (▲ 現役当時の紹介映像 - Smart Accessより引用) こ...
バブルに翻弄された、伝統ある冬の町 青森県大鰐(おおわに)町は開湯800年の歴史を持つ温泉町である。江戸時代には弘前藩の湯治場として賑わい、当地の歴代藩主も代々訪れるほどの人気ぶりであった※1。 また、大正11年(1922)には青森に初めてスキーを紹介した陸軍将校、油川貞策によりスキー場が建設される※2。以後ここは全日本スキー連盟発祥の地となり、全国規模の大会が何度も開催されるなどスキーヤーの間では名...
20世紀の最も重要なシュルレアリスム画家の一人である、ルネ・マグリットの代表作「光の帝国」。彼はかの作品の中で一日という時間の「昼と夜」の時間倒錯を描いたが、本作品は物の「始まりと終わり」を表現した、同じ「時間」のデペイズマン※1である。 (初出:2016年10月 著者Twitter) 【脚注】 ※1^ “美術用語としては、あるものを本来あるコンテクストから別の場所へ移し、異和を生じさせ...
(→「その3:客室」より) ついに来てしまった……バブルの落とし子、屋上温水プール。一流のリゾート地ならともかく、こんな糞ド田舎なのでもっとチャチいものを想像していたのだが、そこはバブル。 天井は全面ガラス張りで開放感があり、プールそのものも十分な広さがある。そして室内暖房用のスチームや、夜間照明なども完備。金かかっとるぞー、コレ! 現役時はもちろん、廃墟になっても間違いなくこのホテル一番...