蚕糸試験場日野桑園(さんししけんじょうひのくわえん)とは、東京都日野市の仲田の森にかつてあった研究所の廃墟である。この施設の目的は養蚕(カイコを育てて生糸を作ること)の研究であり、カイコの主食が桑の葉であることから、通称「桑ハウス」とも呼ばれていた。
ここは廃墟というよりも近代建築遺産で、築80余年の洋風建築である。いくつかあった建物のうち、第一蚕室のみが現存しているらしい。
縁あって近くを通りかかることがあったので、少し時間を取って寄ってみた。

まさかの解体。工事まっただ中で近づくことすらできなかった。貴重な近代建築遺産がまた一つ消える。
※ 追記:工事していたのは建物の周りだけだったようで、建物自体は無事でした。詳しくは記事の続きをご覧ください。

結果、無事でした ヽ( *´∀`* )/
新たに貼りだされていた工事告知によれば、この工事は遊歩道整備のためのものらしい。桑ハウスがどうなるか明示していなかった点は不安だが、まぁこの様子なら大丈夫だろう。

桑ハウスが生き残っていたのは嬉しかったが、複雑な気分でその場を後にする。
2011年8月には桑ハウスを使った地元密着型のイベントも催されていたらしい。ギターの弾き語りと壁面展示を楽しみながらお茶を飲める、なかなか賑やかなイベントだったようだ(以下の動画を参照)。
その後、関係者の地道な保存活動が実り、本物件は2017年6月28日に「国登録有形文化財」に登録された。
(▲ 修復後の桑ハウスの様子 - 日野市公式ホームページより引用)
2019年6月には、劣化していた建物の保存修復工事が開始された。工事前後の様子は以下のサイトで見られる。
→ 「旧農林省 蚕糸試験場 日野桑園 第一蚕室 / 保存修理工事」
なお、桑ハウスの現役時の様子は以下に詳しい。