(→「その2:管理者居住区」より)

建物全体は前方後円墳の形をしており、今その「円」の中心に居る。「方」部分がこれまでに見てきた受付と管理者居住区、「円」部分が客間となっている。
そして管理者居住区と客間は、写真のように円の中心部分を介して接続されている。
ホテルの廃墟は数多く訪れたが、これは他ではまったく見ない珍しい造りだ。

寝場所もベッドじゃないことに驚いた。恐らくエアマットを敷いていたのだろう、無駄に窮屈に感じる。
そしてサイズも、どうひいき目に見てもセミダブルくらいしかない。ここに二人寝るの? 無理じゃない?
造りは完全にラブホのそれなのだが、これを見るとそうとも断定しかねるところ。ビジネスホテルと言われれば納得してしまいそうだ。

円形の弊害はこんなところにも。普通、1階は駐車スペースとして使われているため、階段のせいで部屋が狭くなることはない。しかしこのホテルは各部屋にもれなくこの無駄スペースが設置されている。
ちなみに2階の部屋は施錠されており、入ることはできなかった。

2階の部屋に付属する非常はしごとみられる設備は、いずれも長さが中途半端だ。はしごは廃墟化した後に侵入防止で切断されることがよくあるが、造りから見てこれはどうも当時からこの長さな模様。
だがこれでは30cmくらいしか稼げてないし、この高さではそもそも不要なのでは? こういうのを「トマソン」と言うのだろうか……随所に設計上の不備が見て取れる。