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ダルマの里:第一話「狐顔の少女」

連続廃墟小説
第一話 「狐顔の少女」

ダルマの里_01_バイクを降りる

「おかしい……こんな道通ってないぞ……」

九州は宮崎県にある某廃墟を撮影した帰り道、私は山で道に迷ってしまった。スマートフォンの電波どころかGPSすら拾えず、紙の地図を頼りに移動していたら元来た道すら分からなくなってしまった。

これ以上のバイク移動は山深く危険なため、いったんバイクを降り、徒歩で周囲の様子を確認することにした。

「ちょっとここで待ってろ、Mk2マーク・ツー

どこか高台のような所で電波でも拾えれば……

ダルマの里_01_彷徨

ところがしばらくして、高台どころかバイクの位置すら見失ってしまった。

……ありえん! そもそもナビを使ってて迷うこと自体がおかしいのに、いったい何なんだ今日は?

人里離れた見知らぬ山で完全に迷子になっていると、ヤブの中に鎮座する異様な赤い物体を見つけてしまった。

ダルマの里_01_藪の中のダルマ

何だこれは……ダル……マ? 人が入れる大きさだぞ……
何でこんなもんが、こんな人里離れた山の中に……おかしいだろ……

突然の事にあっけに取られていると、不意に後ろから人の声がした。

「おや、お前さんニンゲンかい?」

ダルマの里_01_キツネ顔の少女

驚いて振り返ると、そこには狐とも人ともつかない奇妙な生き物が立っていた。ああ……疲れてるんだな、俺……

「ははっ、本物じゃん! 久しぶりだねぇ……」

キツネ顔の少女は悪戯っぽい笑みを浮かべ、まじまじと私を見る。

「ここは『ダルマの里』。ニンゲンじゃ3日と生きられないよ」

あ? ダルマ? ダルマってさっきの……あの、ダルマか?

「まっ、これも何かの縁だ。ここでの生き方は、このオレ様が手ほどきしてやるよ」

は? ……え?

「ついてきな」

そう言うと、少女はスタスタと山の奥の方へと歩き出した。


続く......第二話