かつて山中湖のほとりに、「山中湖リゾートホテル」として市販の廃墟本にも掲載されるほど有名な建設途中系の廃墟があった。
筆者にとって初めての大型廃墟がここであり、自宅から日帰りできることもあって、とてもなじみ深い廃墟だった。
【二回目探訪時】
【三回目探訪時】
【四回目探訪時】
潜入早々に、先住民に出くわしてほぼ探索できず。
しかし言動には明らかに不審な点があったので、今思えば鉄泥棒のたぐいだったかもしれない。
【五回目探訪時】
まともに探索できた前々回から、2年半もの月日が流れてしまった。せっかく一眼レフカメラを手に入れたことだし、いっちょ撮り直しに行きますかと思った矢先だった。

ん……? 何かこざっぱりしてんな……

え……
は?
すげぇ、まさかの建設完了かい!
ていうか途中で放り投げたのも頷けるくらい周りに見るとこ何にもないけど、経営大丈夫か?
いやむしろ、また廃墟になれば俺得か……?
廃墟当時との比較のためにも是非とも一度泊まってみたいものだが、ホテルの公式ホームページにいくつか内部の写真が載っていた。
その後の顛末(ちょっと不穏な話)
再生したこの「富士山ガーデンホテル」だが、普通のホテルにしてはかなり不審な点が散見される。
まずホームページの空室状況を見るといつ見ても全て満室で、まったく予約ができない状況なのだ。これはたまたまエラーが出ているというわけではなく、もう何年もずっとこの状態で放置されている。
廃墟ならともかく、普通に営業しているホテルでこれを放置するなどとても考えられない。
(※ 2020年8月現在、ネットの予約システムそのものが削除されてしまった。このシステムを無くすこと自体、普通のホテルではありえないこと)
そしてその後の調べで、北京出身の資本家「露崎強」氏(中国名:那强)がこの廃墟ホテルを格安で買い取り、再生させていたことが分かった。
(▲ 露崎強(那强) 氏 - 日本新華僑サイトより引用)
彼は他にも東京や神戸などに複数のホテルを所有し、ゴルフ場なども経営している。
そしてこの富士山ガーデンホテルは主に中国人観光客をターゲットにしているとのこと(参考:「富士山周辺ホテル 半分以上が中国資本に(人民網 日本語版)」)。ホテルの日本語版ホームページがおざなりな事も考えると、最初から日本人の宿泊は想定されていないものと思われる。
(▲ 富士山ガーデンホテルの口コミ - GoogleMapレビューより引用)
もちろん日本語のホームページがあるので日本人が泊まることもできるようだが、食事やサービスなどが完全にチャイナクオリティで泊まると後悔するとのこと。このホテルは完全にインバウンド専用のホテルのようだ。
そして時は2020年……新型コロナウイルスが日本でも猛威をふるい、中国人観光客の入国は完全に制限された。このような状況下で窮地に立たされたであろう富士山ガーデンホテルはどうしたかというと、改装を理由に一時休業となった。
「このまま廃業してしまうのでは……?」と存続が危ぶまれていたホテルだったが……
(▲ 営業を停止していたホテルを再開させる旨のお知らせ - 富士山ガーデンホテル公式サイトより引用)
同年9月18日、ホテルは密を避けて営業を再開した。宿泊は金土日のみで、総室数の1/3までを上限に開放するようだ。しかしいずれにせよインバウンド需要が壊滅的なため、経営は依然として厳しいものと思われる。
果たして富士山ガーデンホテルはコロナ禍という未曾有の危機をを乗り越えられるのか? はたまた再び廃墟となってしまうのか? ──ホテルの今後の動向が注目される。
【廃墟Data】
探訪日:2007年12月上旬 ~ 2010年11月下旬
状態:「富士山ガーデンホテル」として再生・現役
所在地:
- (住所)山梨県南都留郡山中湖村平野字池畑2420-1
- (物件の場所の緯度経度)35°25'28.9"N 138°53'30.5"E
- (アクセス・行き方)山梨県富士五湖のひとつ「山中湖」の湖岸北東にある。詳しくは下記地図を参照。