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ゲゲゲポスト(岩後の廃屋)

ゲゲゲポスト

雨のしとつく鬱蒼うっそうとした森の中。
忘れられ、荒れ果てた山道の先にそれはあった。

人家もない山奥に忽然こつぜんと現れる奇妙な郵便受け。
使途不明のそれを、いつしか人々はこう呼んだ。

────『妖怪ゲゲゲポスト』、と。


以下に、この物件(ゲゲゲポスト)への詳しい探索レポートを紹介する。

ゲゲゲの鬼太郎

(▲ 水木プロ・東映アニメーション「ゲゲゲの鬼太郎」より引用)

まず本題に入る前に、若い人の中にはいったい何が「ゲゲゲ」なのか、意味が分からないという方もいらっしゃると思うので少し解説をする。

その昔「ゲゲゲの鬼太郎」という、妖怪を主題とした漫画・アニメ作品があった。その作品に「妖怪ポスト」なるものが登場する。そこに手紙を入れると主人公の鬼太郎の元へと届き、どこからともなく彼が現れるというものだ。「ゲゲゲポスト」という物件名はここから取られている。

さて、それでは以下に本題へと入ろう。

岩後の廃屋(ゲゲゲポスト)_国道からのアプローチ

ゲゲゲポストを目指して国道からわき道へと入る。しかしそこは目印も何もなく、非常にわかりづらい。よほど注意深くないとあっという間に通りすぎてしまうだろう。

上の写真で言うと、中央あたりの電柱と電柱の間の道を右に入っていくことになる。

岩後の廃屋(ゲゲゲポスト)_地図

(▲ 国土地理院「千葉県君津市大坂」付近の地図データを元にブログ筆者が作成)

先ほどの写真は地図で言うと「1」の地点に当たる。「3」の地点で道は分岐し、目的のポストは☆の位置である。

以下に番号を振りながら写真を掲載していく。

岩後の廃屋(ゲゲゲポスト)_道中

2. 最後の民家を通り過ぎる頃には、辺りはすっかり山道となる。

岩後の廃屋(ゲゲゲポスト)_分岐

3. これまでほぼ一本道だったが、ここで初めて道が分岐する。ここで自分は下調べが甘く、間違って左方向に進んでしまう。

岩後の廃屋(ゲゲゲポスト)_岩後の隠し田

4. するとすぐに視界が開け、写真のような景色となる。今まで鬱蒼とした山道だったのにこれは異様だ。かつての隠し田(年貢逃れの田んぼ。見つかれば死罪になった)だろうか。

岩後の廃屋(ゲゲゲポスト)_寸断された道

5. しかしその後、道は川で分断されてしまった。渡れなくもないがここでGPSを確認すると道を間違えていることが分かったため、「3」の分岐まで引き返した。

岩後の廃屋(ゲゲゲポスト)_電柱

6. いったん分岐まで戻り、今度は右の道を行く。そして行けども行けども山道ばかりで人の痕跡など無く、不安を感じはじめていた頃にこの電柱が見えた。

これがなければ、この先にかつて人が住んでいた事などとても信じられない……それほどの山奥だ。

岩後の廃屋(ゲゲゲポスト)_ポスト到達

「え、何だ? アレか?」

唐突に現れる古びた赤いポスト。前情報のある私でも見まちがいかと一瞬疑ってしまう。

「こんな山奥に……? 周りに何もない、っていうか森じゃん……」

現実感のない光景がそこには広がっていた。

ゲゲゲポスト_01

この異様な非現実感が写真で少しでも伝わるだろうか?「妖怪ポスト」と呼ばれるのも納得がいく。

しかし実際にここに至るまでの山道を自分の足で歩き、隔絶された山奥感を肌で感じていないと完全に把握するのは難しいかもしれない。

ゲゲゲポスト_ポストの中身

気になるポストの中身だが……どうやら目玉のコンビへの依頼はまだないようだ。

岩後の廃屋(ゲゲゲポスト)_自転車

ポストの裏にはカバーを掛けられた自転車が放置されていた。朽ち果てたカバーの色にこれまでの歳月がしのばれる。

ポストの地点でまた道は分岐していて、自転車の方向に行けば民家らしきものがあるのが記事冒頭の地図やこの航空写真で見て取れる。

が、そっちの道は道ってレベルじゃなく、道なんか見えないどころか崩れてるし、完全に藪こぎで傾斜も急。雨の降ってる中こんなヤブを通ったら全身ずぶ濡れになるし危険なので、今回はここで引き返すことにした。

ちなみにこの先の民家(ゲゲゲハウス・岩後の廃屋)についてはこのブログが詳しい。どうやらこの辺りはオフロードバイクのツーリングコースとして千葉・房総界隈では知られているようだ。

ゲゲゲポスト_02

降り続く冷たい雨。天露に濡れて生々しく光る木々の葉は、薄暗い森をより一層不気味なものにしていた。

さぁ、日の沈まないうちに人里へと帰ろう。やはりここは妖怪の棲む土地なのだ。