
「この店かしや(前回更新記事)」と同じ敷地内には「アミューズメントどんどん」というゲームセンターと「ビッグドン(次回更新記事)」という24時間の大型の食糧品量販店が併設されていた。まずは写真のアミューズメントどんどんから見ていこう。

これはかつてここで開催されたバーチャファイター2の大会の様子を記録した物のようだ。
この当時の、もろポリゴンにアニメ顔を貼り付けたような造作のキャラクターを見たら、今の子供たちはさぞ滑稽に思うだろう。だが本作は3D対戦格闘ゲーム黎明期の画期的作品であり、当時は一世を風靡したのだ。
あれから20年……3Dゲームのグラフィックは、もはや現実世界と見間違えるほどに進歩した。

写真に写っていたものと同じ赤い椅子だ。ゲーセンといえばこの赤い椅子だが、東京から遠く離れた秋田でもそうだとは……恐らく筐体とセットで販売されている物なのだろう。
もはや座る人間がいなくなって久しく、椅子の上には白い埃がずいぶんと積もってしまっている。

廃墟みたいなゲームセンターには国内外含めていくつか行ったことはあるが、廃墟になったゲームセンターというのは廃墟歴長いクセにこれが初めてだ※1。
昨今ゲームセンターはどんどん潰れているが、そのほとんど全てが繁華街にありすぐに次のテナントが入るため、廃墟化する暇もないのだろう。筐体だって売れば売却益が出る。結果としてゲームセンターが潰れても後には何も残らないのが普通なのだ。
ここには、時代に取り残されてしまった物たちとその記憶だけが、静かに時を重ねていた。
(→「ビッグドン」へ続く)
【脚注】
※1^
ただし、ゲームコーナーが置かれている廃墟ホテルというのであれば、さほど珍しくはない。