西日本遠征ツーリングの帰路に広島で偶然見つけた農家の廃墟。かなりの豪邸であり、2階建て瓦葺きの純日本家屋、納屋が2つに離れには風呂、トイレは3つ、裏手には大きな畑の跡らしきものも見えた。庭にはシトロエン2CVにも似たお洒落なレトロ車が放置されており、他にも様々な農業用機械・調理用機械・当時の高級品であろう家電製品などが所狭しと並び、往時の裕福な生活が偲ばれる。
農家というとともすれば田舎者で無教養なイメージが持たれがちだが、当家のご主人は相当な機械マニアのインテリだったらしく、蔵書はかなり高度な電機関係のものが目立つ他、自らが書いた設計図も山とあり、自家用電気技術者協会からも表彰されていた。先述の機械類もすべて自分で整備を行なっていたようである。自作の時限式イルミネーション装置のほか、「農事研究室」を備えPC9821を始めとしたパソコン(廉価版でも平気で30万円以上はした時代のものである)を複数台設置、書斎はともかく自宅に「研究室」がある家など私は聞いたことが無いので思わず変な笑い声が出てしまった。あんたは西洋の貴族か!
建物の造りや残された品々はかなりの古さであるものの、廃墟化時期は少なくとも2004年3月以降であり、見た目ほど古い廃墟ではなさそうだ。しかし当地の厳しい冬の気象条件のせいだろう、既に建物のうちかなりの部分が崩落してしまっており、もはやそう何年も持たないのではないかと思われる。