
1. 概要
K医院とは、岐阜県を走る名鉄広見線の沿線にある病院の廃墟である。比較的栄えている駅前の土地の一角が唐突に人跡未踏の原生林の様になっている姿は、江戸時代から怪異の伝承が伝わる千葉県の心霊スポット「八幡の藪知らず」を思い起こさせる。
この物件は写真の看板のクリニック(名称部分は編集で塗りつぶしてある)との関連が噂されている。しかし近所にこんなものを放置していればお客さんである近隣の住民に悪い印象を与える事は間違いなく、どう考えても商売上悪影響だ。それにもかかわらず何の対策もされないまま放置されているので、関連があるとはなかなか考えにくい。
だが、一連の探索によりここが廃病院(の関係者が居住していた家)であるという事も確からしい事が分かり、「老朽化により近所に立て替えを行なってこちらは放棄された」と考える事もまた自然だ。「K医院」という名も看板の医院の頭文字である。が、いずれにせよ近隣の住民への聞き込みが難しい以上、真相は闇の中だ。
2. 内部探索
3. 2度目の探索

(▲ 前回の探索範囲(青色)と、新たに発見した病院棟の場所(赤色) - GoogleMapの画像を元にブログ筆者が作成)
病院棟の場所は、母屋側からアプローチするには深い竹薮に阻まれてかなり難しいであろう事が第1回目の調査から強く予想された。したがって第2回目では南の畑側からアプローチを開始した。
また、日中は農作業の方がいらっしゃるかもしれない上、あたりには遮蔽物が一切なく畑のあぜ道に人がいると非常に目立つので、今回は夕闇に紛れての探索である。
結論としては、確かにここが病院の廃墟であることが確認できた。しかし建物内部は空っぽ同然で、わずかにシリンジ(注射器)や医薬品等を梱包していたダンボールの空箱がある程度で、史料的価値にも乏しい場所であった(カメラ無しの探索だったので写真も無い)。
また、ここは病院の廃墟には珍しく心霊的な話も全く聞かないという、とにかく無い無いづくしの物件である。
以上の事から、たとえ馬鹿な廃墟フリークスであってもこんな所にわざわざ足を運ぶような選りすぐりの馬鹿がいるとはとても考えづらく(どう考えてもここに探訪するくらいなら他へ行く)、ここは全てから無視されやがて消えゆく運命にあるだろう。
そもそもこうして見捨てられた建物が「廃墟」なわけであって、ここは実に本来の廃墟らしい廃墟と言えるかも知れない。
【廃墟Data】
探訪日:2013年11月下旬(母屋) / 2014年5月上旬(病院棟)
状態:母屋側は全ての構造物が末期的状態。病院棟は健在。
所在地:
- (住所)岐阜県可児市下恵土263
- (物件の場所の緯度経度)35°25'34.1"N 137°03'23.6"E(母屋)
- (物件の場所の緯度経度)35°25'32.8"N 137°03'22.0"E(病院棟)
- (アクセス)太田線可児(かに)駅の東口ロータリーを名鉄広見線の新可児駅改札側から出て、かに書房の角を左折する(信号のある交差点まで行くと行き過ぎなので注意。そこを左折しても立体交差の上に連れて行かれて物件には辿りつけない)。200m程直進した先の突き当たりのT字路を右折し、次のT字路を左折する。そこから100m程進んだ先にある名鉄広見線の踏み切りを越えてすぐ左手に物件のある鬱蒼とした竹林がある。