1. 概要
「子供の描く絵がおかしい」というのは、家庭崩壊や虐待のメタファー※1として漫画や映画などの映像作品にしばしば用いられる表現である。だがそれは決して根も葉もない“おとぎ話”ではないという現実を、この廃屋は我々に教えてくれる。
この家にはかつて、両親と猫好きの2人の女の子が暮らしていたようだ。造り自体はどこにでもあるような普通の民家である。しかし上の子が中学校に上がった時点で、家族の記録はまるで夜逃げでもしたかのようにプッツリと途絶えてしまっていた。
その絵から放たれる尋常ではない狂気もさることながら、家族の突然の失踪、背後に見え隠れする某宗教団体の影、そして墨汁(?)をまき散らかしたような滅茶苦茶に荒らされた部屋など……。これらの状況をふまえてここが廃墟になってしまった理由について考えてみると、私にはどうしても背筋に冷たいものが走ってしまうのだ──
2. 内部探索

げんザい 現在 我々は占い師でもないと先が 予言 インデアン 占ないしでもない後P仏のみこころは コントロール 候ぞ 信じさせたまえ
(※ 現代日本語訳は「占い師でもないと私たちは未来が見通せない。どうかご予言を下さい」だと思われる。茫漠とした将来への不安にひどく悩まされていた様子がうかがえる。そして某宗教団体はそこにつけ込んだのだろう)

気取って短歌なんか詠ってる場合じゃないんじゃないですかね、先生? お弟子さんのお脳の中、大変なことになってますよ……?
そして記事冒頭で触れた「墨汁の部屋」だが、残念ながら撮影が叶わなかった。最初に目にした時はまだあれらの絵を見ておらず、ただの汚い部屋にしか見えなかったのでシャッターを切らずにスルーしてしまったのだ。
他にもキッチンやら別の区画(お隣さん?)やらトイレやら、全然撮っていない・行ってもいない所がたくさんある。しかし本当に口惜しい事に、あの絵を撮影してすぐにやんごとなき理由によってこの場にいることが一切できなくなってしまったのだ。それは私の廃墟人生で、文句無く一番の患禍だったと言える。その詳細については [お察し下さい] 。
再訪については、私はもはや不可能であり、初めての方にとっても同様のやんごとなき理由により全く勧めることはできません。
【廃墟Data】
探訪日:某年某月
状態:現況不詳
所在地:
- (住所)広島県
- (物件の場所の緯度経度)─
- (アクセス・行き方)─