1. 概要
グランドホテルニュー湯谷とは、山口県の下関市のはずれにある温泉旅館の廃墟である。この湯谷温泉には、このホテルの他にもう一軒「湯谷荘」という旅館もあったのだが、現在はこちらも廃墟になってしまっている※1。当地に残っていた温泉宿はこの2件だけであるため、2009年のニュー湯谷の閉鎖をもって湯谷温泉そのものが地図上から姿を消したことになる。
2. 実際に足を運んでみた

県道沿いに見える看板。
「ラジウム温泉」とあるように湯谷温泉の泉質は「単純弱放射能冷鉱泉」であり、一般的な放射能泉の例に漏れず色も臭いも無かったようだ。
筆者はバイク乗りなので、これまた例に漏れず温泉好きである。これまで全国をバイクで旅しながら、有名処からマニアックな野湯まで大小様々な温泉に入ってきた。
しかし私の好みは色も臭いもキツい「いかにも」な温泉なので、ラジウム温泉には実は一度も入ったことが無い。そもそも空気中のラドンが肺がんのリスク要因であるという研究結果が出ている※2一方で、ラジウム・ラドン温泉が体に良いとする医学的根拠は全く無いので、あまり好き好んで入りたいとは思わない。
もしこれで「いかにも」な温泉なら、愛煙家にとってのタバコのような中毒性があるのかもしれないが……

み ず
『温泉水』
このセンス半端ないな。他にも「容れ器(いれもの)」「無料(ただ)」「準備(そなえ)」など独特の厨二変換が目立つ。
全体的にやたら強気な上、所々に商売っ気が見え隠れするのも面白い。「この温泉水(みず)を汲み取らんと欲する者は、かならずや腹が空くものなり。ホテルの健康カロリー会席料理を食すれば即ち健康の増進はさらに期待されるべし」には思わず笑ってしまった。
【廃墟Data】
探訪日:2014年3月下旬
状態:管理物件
所在地:
- (住所)山口県下関市吉田町湯谷195-1(下関市大字吉田字湯谷196-1 ?)
- (物件の場所の緯度経度)34°06'28.8"N 131°05'54.4"E
- (アクセス)中国自動車道「美祢西」ICを降り、料金所を出て分岐を左方向へ、県道33号線を下関方面へ進んでいく。道なりに約5km行った先の左手に「歓迎 天然ラジウム 湯谷温泉」の看板が見えてくる。その看板のある敷地に「グランドホテルニュー湯谷」が建っている。
なお、本物件をGoogleマップで検索して出てくる場所は、マップに住所が登録されているにもかかわらず全く違う場所なので注意(記事執筆時点で下関市役所の場所になっている)。