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ファミテック

1. 概要

ファミテックとは、栃木県日光市の森の中にそびえ立つ、地上9階建て・東側全面ガラス張りの廃墟ホテルである。周囲はただただ山野が広がるばかりの田舎に、突如としてこの都会にあるような巨大ビルがぽつりと鎮座しているさまは、まさに「異様」の一言に尽きる。

1階にはフロントやバーと思しき小部屋があり、客室は8階まで。最上階は展望レストランとして使われていたようだ。この廃墟の目玉でもあるガラス張りの部分はだいぶ崩落が進んでしまっており、危険な状態にある。

また、ホテルの廃墟化からしばらくして、駐車場の跡地を利用する形でとある中古車販売会社が営業を開始している。建物自体の管理もここが行なっているものとされている。

しかしこの会社、一応登記はされているようだが、このご時勢にウェブサイト無し・会社の電話番号が携帯電話のみ・代表者が外国人らしい、と怪しさ満点。そもそもこんな山奥になぜ……? などという事から様々な憶測を呼び、「ヤクザのフロント企業」「管理者があちら系」などとも昔はよくうわさされていた。

現在は500mほど北西に同名のホテルがあり、このホテルが移転したものと言われている。筆者はこちらへも足を運んだことがあるが、確かに一応は営業している様子であった。しかし建物によっては廃墟同然の所もあり(かろうじて非常灯だけは点いていたが……)、こちらも経営は厳しいようである。

以下は、ガラス張りの廃墟の方(心霊スポット)のファミテックの探索記事である。

2. 実際に足を運んでみた

お化けポスト

道中、人の気配が無い山道にポツリと立つポストがあった。その姿はまるで千葉にある有名な妖怪ポスト「ゲゲゲポスト」を連想させる。

今は見る影も無く寂れてしまっているが、現地には無駄に縦横に走らせた道路や唐突な空き地・廃屋があり、ここを別荘地(今市芸術村/自然郷?)として開発しようとしていたのではないかと思われる。

ファミテックの送迎バスの廃車の上にさらに廃車。緑に飲み込まれようとしている。

そろそろホテルが近いが、周囲にはあちらこちらに廃車が。

ファミテック送迎バスの運転席周辺

このホテルはアクセスが非常に悪いため、このバスで送迎していたのだろう。

もっともそのへんな立地のせいで、その送迎の必要もこうしてなくなってしまったわけだが……

ホテル・ファミテック(廃墟) 正面入口

どうにかホテルの正面入口まで辿り着いた。夏場に来たのでとにかく草がすごい。

1階フロント

入って左手にはフロントがある。

蔦系の植物に覆い尽くされた1階バルコニー

突き当たって正面のバルコニー(ガラス張りの1階部分にあたる)をのぞいてみたが、骨組みを伝ってツタ系の植物が生い茂っており、とても出れたものではない。

奥へと続いていく暗い廊下

フロント横を抜けて、客室部分へと向かう。

バールのようなものでぶち抜かれた金属製の客室ドア

その客室のドアがこれ。派手に蹴り壊された坪野鉱泉のドア東金の未完成ホテルの惨状が思い起こされる。

その時も思ったが、彼らのこの有り余る無限のパワーは本当に一体どこから湧いて出てくるのだろうか? 中に大したものが残されているわけでもないのに……?

ドアに開けられた穴から客室の中を覗く

穴から中を覗いてみる。

低層階の客室内部。がらんとしていて何も無い。

客室の内部はどこもこんな感じ。殺風景でほとんど何も残されていない。

ドアを開ける為に壁にこじ開けられた穴

階を上がるにつれ、正面突破で鋼鉄製の扉を破るよりも横の壁のコンクリを抜く方がたやすいと学習した様子。

「2019.9.13 外道塾 参上」と部屋の壁に書かれた落書き

部屋の壁には「外道塾」の落書き。

坪野鉱泉の時もそうだったが、この外道塾もイキったヤンキーの創作などではなく栃木に実在した暴走族のようだ。二代目の頭をやっていたと思しき人物のページがmixiに残されていた。

しかし彼の代の頃にはクラブでイベントをやるなど、完全に音楽方面に転向している。mixiというだけでも時代を感じるのに、その頃ですらもうぞくなんて流行らなかったということだろう。

外道塾集会

(▲ 外道塾の集会(顔はモザイク修正)。これも暴走行為のために集まったのではなく、どこかのハコで行なわれたイベントのようだ)

「北関東狂走愚連隊」「栃木」等と落書きされたリネン室のドア

「北関東狂走連盟」は7つのグループから成る広域暴走族集団。こちらは外道塾とは違いかなり有名で、かつては関連の雑誌などにも取り上げられるほどだった。

しかしこれは、愚連隊……? どうやら栃木にあったらしいという事までは分かったが、それ以上の詳細は不明。しかも連の字まちがっとるし(笑)

原始文明風の壁紙

外道塾の所もそうだったが、このホテルは壁紙がオシャレだ。そのうえ部屋ごとに異なったデザインのものを使用しており、ラブホテルならともかくこういうホテルではかなり珍しい。この廃墟の見どころの一つと言ってよいだろう。

客室の壁に掛かっていたオシャレな照明器具

調度品もおしゃれ。

壊してこじ開けようとして途中で諦められたH706号室のドア。蹴り跡やノブの横の壁を抜こうとした跡が残っている。

階段を登りに登ってようやく7階まで来た。ここに来るまでに、彼らもだいぶ息切れしてしまった様子。扉を突破し切れていない。

最上階の廊下

そしてついに最上階である9階へ。

展望レストランのキッチン

通路を抜けると大きなキッチンがあった。

ホテル・ファミテック(廃墟) 展望レストラン内部

キッチンの向かいは広めのスペース。造りからして恐らくここは最上階の展望レストランだったと思われる。

『孤高の木』

最上階にたった一本で生えている木。その凛とした姿には感動すら覚える。

ホテル・ファミテック(廃墟)空撮 最上階の展望レストラン

同じ部屋を外側から。

ホテル・ファミテック(廃墟)空撮 南西側より日光宇都宮道路をバックに

この廃墟は何と言ってもやはりこの外観のインパクトの強さだろう。ドローンで空からの映像を眺めているだけでも楽しい、なかなかに良い廃墟だった。

この廃墟の空撮動画はこちら↓

【廃墟Data】

探訪日:2013年9月中旬 / 2018年9月下旬 / 2018年11月中旬

状態:管理物件

難易度:★★★★★(最高) 旧駐車場を使用している現役企業がある。2023年現在は監視カメラが多く、夜でもすぐに関係者が飛んでくるとのこと。実質的にほぼ探索は不可能。

駐車場:なし

所在地:

  • (住所)栃木県日光市室瀬507
  • (物件の場所の緯度経度)36°41'54.2"N 139°42'25.9"E
  • (アクセス・行き方)日光宇都宮道路の「土沢」ICより、国道121号線経由で約8分(4km)。
     高速出口のT字路を右折して国道121号線を南に入る。600m程進み最初の十字路で右折、400m先の突き当たりを右折して、西側を並行して走る別の国道121号線を北に入る。そのまま直進すると1km先で道路が大きく左に90度カーブする地点に差し掛かる。ここを曲がり終わってすぐ左へ分岐する道があるので左折して入る。入った分岐道は180度の弧を描いて元の国道へと繋がっており、そこへ至る直前(分岐に入ってから2番目)のY字路を左折する。左折してすぐ、さらに左へと入っていく道があるので、それを行くと鬱蒼とした木々の間にガラス張りのビルが見えてくる。
    ここへ至るまでの難所は90度カーブの先の左分岐にきちんと入れるかどうか、だろう。ここは気をつけていないとすぐに通り過ぎてしまい、その先の左折路は一方通行のため進入禁止、さらに交通量のわりに道路幅が狭く引き返すためのUターンも厳しい。また左分岐へきちんと入れたら入れたで、その先はさらに細かく道が分岐しており、ヘタに進むと普通車の幅しかないような未舗装路で工事用トラックと鉢合わせることになる。