1. 概要
遠州秋葉山といえば東海随一の霊山と名高く、古くから山岳信仰や天狗信仰の場とされてきた。山頂付近には日本全国に400以上ある秋葉神社の総本山が置かれ、火難除けの神様として広く世に知られている※1。
この霊験あらたかな山の麓、春野町に古い木造の分校跡が今も残っている。創立は定かでないが明治初期と考えられ、元々は分校ではなく「領家学校」という名の独立した学校であった。
明治7年(1874)に今の浜松市立犬居小学校がこの領家学校の堀之内分校として開校。その後、立場が逆転して領家学校は犬居小学校の領家分校となった。大正4年(1915)には166人もの生徒を擁した※2が、その面影も今はない。そして昭和41年(1966)10月、領家分校は閉校した※3。
2. 探訪

こちらは第四代の鈴木校長。任期は大正8~14年(1919~1925)。
当時は口ひげを蓄えることが権威や威厳の象徴であったため、同時代の偉い人たちは総じてこのスタイルである。この当時、学校の校長を務めるといったら現代とは比較にならないほど名誉な事だった。この方もさぞや地元の名士だったに違いない。
──だが、時代はすっかり変わってしまった。
今の春野の町を見たら、彼は一体何を思うだろうか。

なかなか味のある良い廃墟だった……とホクホク顔で帰路につくと、ふいに視界の隅を学校の門柱のようなものがよぎった。
よくよく見てみると、犬居小学校 領家……分校……だと…………?
そ、そんなバカな……! じゃあ今までのは一体何だったんだ?!
(▲ http://www.somabito.org/hokuen/2014/11/post-a3f9.html より引用)
現役当時の校舎の前に整列する生徒たちを収めた一枚。今では考えられないほどの数の生徒がいることに本当に驚く。しかも生徒が全員和服……これほど古い学校の記録写真は見た記憶がない。
【廃墟Data】
探訪日:4月上旬
状態:健在・管理物件
所在地:
- (住所)静岡県浜松市天竜区春野町領家342-1(校舎)
- (物件の場所の緯度経度)34°57'13.6"N 137°52'56.5"E(校舎)
- (アクセス・行き方)新東名高速道路の浜松北ICを降り、料金所を出て「天竜」方面へと進む。国道152号線に出るので5kmほど行くと「双竜橋」交差点で国道362号線へと接続するので、交差点を右折して国道362号線を「水窪・春野」方面へと進む。15kmほど進み気田川に差し掛かってすぐ、県道286号線への分岐があるので、左折して入り「横山」「秋葉神社下社」方面へと進む。川を渡って突き当りを左折、250mほど進むと左手にパーキングエリアがある。そこから徒歩で来た道を引き返す。100mほどで左に分岐する坂道があるのでそこに入る。坂道を上って最初の分岐を左に行くと講堂が、2つ目の分岐を左に行くと校舎が見えてくる。