1. 概要
ホテル江戸城は千葉県佐倉市にあるラブホテル(モーテル)の廃墟。千葉のジェイソン村とも呼ばれている。敷地全体が深い竹やぶに覆われており、その中に点在する屋敷をひとつひとつ訪ね歩いていくという、心霊スポットとしては抜群の雰囲気を誇っている。
この廃墟からは昔、殺された女子高生の白骨遺体が見つかったと言われ、それ以降その女子高生の霊が出ると噂されている。また、首吊り自殺した死体が建物内から発見されたこともあるらしい。
そのような「いわく付き」であることや、大きな国道沿いにあることもあって、ホテル江戸城は千葉では非常に有名な廃墟となっている。
2. 実際に足を運んでみた

しばらく進むと、ホテル江戸城の案内板が見えてきた。それによれば道はぐるりと輪を描き、それに沿って各コテージが並んでいるという感じだ。
道はここで左右に分岐しているが、とりあえず赤い矢印の方向に進むとフロントがあるらしいので、その通り左回りで行くことにする。

その前に少し価格をチェック。休憩2時間4000円、宿泊6000円。スイートはさらにプラス2500円で、延長は1時間毎に1000円か。
この廃墟がまだ現役だったほど昔のことはちょっと分からないが、国道沿いのラブホテルでこの値段はけっこう安いのでは。それでも潰れてしまったのは、よっぽど場所が悪いのか……

おしゃれなベッド。ホテル江戸城の部屋は本来であればこんな感じの部屋だったんだと、ここまで来てようやく知ることができた。
しかしなんと狭い! この写真は広角レンズで撮っているので広く見えるかもしれないが、実際はかなり窮屈だ。

なんとかこの狭さを表現する方法はないものかと考えた末の自撮り。筆者は176センチで体格も普通だが、ベッドの天井のふちに余裕で頭がついてしまう。
おそらく昔の日本人の体の大きさに合わせて作られたのだろう。戦後、食糧事情の改善と共に日本人の平均身長・体重は急激に伸びた。ここのベッドも現代ではもはや一人用の大きさだ。

この廃墟の洋室はどこも基本的にベッドのすぐ横に巨大な鏡が設置されている。
通常、部屋に大きな鏡を置くのは空間を広く見せるためだが、ここはラブホテル……要するに視覚的なエロスを追求した結果がこれなのだろう。実際、古いラブホテルの廃墟ではそう珍しくない造りだ。
しかし今ではこういうあからさまな鏡は風営法に引っかかり、宿泊業としての営業許可が下りないらしい。たしかに私も廃墟以外でこういう鏡があるのは見たことがない。
かの有名な時代の遺物「回転ベッド」と同じく、このベッド脇の巨大な姿見もそのうち日本から絶滅してしまうのだろうか。

9号室「初島」。スイートの洋室だ。2部屋あり、ベッドもこれまでの部屋のものに比べてかなり広々としている。巨大ミラーも他の部屋のように貼り付けっぱなしではなく、西洋風のデザインになるように気が配られている。
こういう風にちゃんと2500円分の満足感が得られるように努力しているのが分かるのは、とても好印象だ。

これで道をほぼ一周してきた。この先を行くとすぐ、ホテル江戸城の案内板があった場所へと戻ることになる。
今回の探索は昼間だったが、ここに夜に来たらすごく冒険感があって楽しいんじゃないかと思う。竹林をくぐり抜けて廃墟を訪ねゆくさまは、茨城の超有名スポット「小川脳病院」に通じるところがある。
しかしその冒険感を演出する竹は廃墟を破壊する主因にもなっており、このおいしい状態がいつまで続くのかという不安もある。
今回心霊的な現象は何も起こらなかったが、実際に足を運んでみると鬱蒼とした竹林が表の雑踏を全てかき消すので、敷地内には外界から切り離された異世界感があった。そのため、ここはただ歩き回っているだけでもなかなか楽しい廃墟であった。
【廃墟Data】
状態:解体済
所在地:
- (住所)千葉県佐倉市坂戸1447 付近
- (物件の場所の緯度経度)35°39'47.3"N 140°13'11.0"E
- (アクセス・行き方)東関東自動車道「佐倉」ICを降り、高速出口のT字路を左折して「八街・酒々井」方面(国道51号線方面)へと進む。次のT字路で国道51号線に接続するので、右折して「千葉・八街」方面へと入る。そのまま国道(佐倉街道)を進んでいくと、3.6kmほどで左手にボロボロに朽ち果てた和風の門(ホテル江戸城への入口)が見えてくる。