1. 概要
料亭ふるさとは茨城県の生板湖畔にある割烹料理店の廃墟。よく「霊は水場に集まる」と言われ、町外れの静かな池のそばに立つこの廃墟もその例に漏れず昔から心霊スポットとして扱われている。
しかしここは心霊的な体験談などは全く聞かれない。こういう場所にありがちな「殺人事件があった」とか「オーナーが自殺した」とかの噂すらない。
なかなか雰囲気のある廃墟だしちょっとくらい何か言われていた方がむしろ自然だと思うのだが、本当にここは不思議なほど何もないのだ。この「心霊スポットとして古くから知られているのに怪談話が何もない」というのは、同じ茨城県の上高地別荘ホテルを彷彿とさせる。
霊感のない私には他の「出る」心霊スポットといったい何がそんなに違うのか全然分からないのだが……霊にとってよっぽど気に入らない何かがあるのだろうか。廃墟は何も語ることなく今日もじっと生板の湖畔に立ち尽くしている。
2. 実際に足を運んでみた
記事冒頭の写真は2月のものだが、その時は外観の撮影のみで済ませた。そして同じ年の8月に、廃墟仲間3名と共に改めて訪問し直した。これ以降の写真は、その8月の探索のものである。
料亭ふるさとの入口のそばには、小さな池と石橋の跡があった。こうして「和」を演出することで料亭感を醸し出していたのだろう。
1階客間。当時ここは大部屋だったのだろうか? それともいくつかの部屋に仕切られていたのだろうか。もはやそれすらも分からないほどの崩壊っぷりだ。
営業当時はここからも生板池が見えたのだろうが、今は草で覆われてしまって何も見えない。
小公子セディの茶碗が落ちていた。このアニメが放映されたのは昭和63年(1988)のことである。という事は、ここは早ければ30年以上前で時が止まっているわけか……
廊下の奥には2階へと続く階段があった。このやたら狭くて急な階段も、昭和の古い時代にはありがちなシロモノである。
階段を上って2階の客間までやってきた。ここからは今も湖を望むことができる。
しかし床はとても危険な状態。間違っても踏み入れない方がいいだろう。
2階の廊下。ここを通って建物の玄関方向へと向かう。
玄関の横にあるこちらの階段はかなり広めに造られている。
先ほどの階段を降りてきたところ。写真左手には今降りてきた階段、右手には料亭の入口が見える。
探索の都合上、私はあの狭い階段を使って2階へと上がったが、当時のお客さんは主にこちらの広い方の階段を使用していたと思われる。
湖畔からは筑波山がよく見える。なかなか雰囲気の良い湖だ。
料亭が景色の開けたこちら側ではなく奥まった向こう側にあることなども考えると、ここは大衆食堂ではなく隠れ家的な割烹だったと思われる。
しかしそのためにアクセスが悪く、中途半端に高級だったことも災いして客足が伸びなかったのだろう。ここが廃墟化した理由はそんなところだと思われる。
【廃墟Data】
状態:健在
難易度:★★★☆☆(普通) 床が抜けそうな2階は特に注意
駐車場:なし
所在地:
- (住所)茨城県石岡市東大橋2179
- (物件の場所の緯度経度)36°11'29.9"N 140°18'38.9"E
- (アクセス・行き方)常磐自動車道「千代田石岡」ICより、国道6号線→355線経由で約14分(7.5km)。