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廃墟写真ブログ -Ruin's Cat-

埼玉の黒い家(落書きの家・電波物件)

黒い家(落書きの家)は、埼玉県蓮田市にある電波物件。この手の物件ではまず間違いなく一番有名だと言える。SNSの普及以前から2ちゃんねる等でその存在がささやかれ、市販の雑誌にも何度か載ったことのある超有名物件である。

見てのとおり建物の壁という壁は家主の電波なポエムで埋め尽くされており、静かな田舎町に尋常でない空気をまき散らしている。その異様さから地元では名の知れた心霊スポットにもなっている。

しかし一見すると雑多で意味不明な文章も、ていねいに紐解いてゆけば大きな主張は主に2つであることに気がつく。ひとつは「株式投資の失敗(は大株主に対する企業の裏切り行為だ)」というもの。そしてもうひとつは「家主自身の健康問題」である。

以下に詳しく見ていこう。

埼玉の黒い家(落書きの家・電波物件) 県道側の塀「奪われた自由主義」「インフラ・爆発」「息の根を止めるノド胸の手術」

県道側からみた建物正面。車通りの多い道のすぐ横のブロック塀がこれなので本当に目立つ。

埼玉の黒い家(落書きの家)の正面入口付近。家の壁には「How much YAMAICHI」「Non-Arrest Blackmail AttackHouse」などと書かれている。

ブロック塀の上から住宅の正面を写した一枚。ここで個人的に気に入った台詞は「バーナーをすぐ曲げる」と「曲げられたアバラ」かな。

黒い家の黒い壁には黄色い文字で「紙くずの1,200万株の力」と落書きされている

しかしやはり家主の一番の主張はこれであろう。これまで見てきた写真でもすでに「紙くず 1千万株」や「今 1株 いくら 山一、拓銀」などの文字が見えていた。

「大株主に対する背信行為」「だれだオマエはヒットラー」と落書きされた埼玉の黒い家の塀

このため、ここの家主は「株式投資に失敗して莫大な負債を抱えたので発狂した」などと言われている。

埼玉の黒い家の2階東側のクローズアップ。壁には「紙クズ「拓銀」だけでも配当3000万円」「ニセ倒産」などと書かれている

こんな場所にどうやって書いたんだというくらい上の方に「紙クズ『拓銀』だけでも配当3000万円、10年で3億円を盗み収入を断つ。山一・相和銀を加えるとばく大な金」などと書かれている。

拓銀とは北海道拓殖銀行の略で、平成9年(1997)に経営破綻した。山一證券も同年11月に、東京相和銀行は平成11年(1999)にそれぞれ経営破綻している。

黒い家の2階の西側の軒下には「自民が恐怖」「株・配当金どろぼう」などと書かれている

壁の落書きを総合すると、家主が投資していたのは主に先述の3社のようだが、このうち銀行は2行ともバブル崩壊を契機として潰れている。

全国の廃墟マニアはバブル崩壊には決して足を向けて寝られないものだが、まさかのここもバブル崩壊物件だったとは……

「21年無配」「NHKもニュースでさぎ」などと書かれた埼玉の黒い家の塀の落書き

仮に「1200万株の紙くず」というのが正しかったとしよう。これがすべて拓銀の株式だとすると、額面は50円なので、少なくとも6億円以上を失ったことになる。

これで「配当金3000万円」なら利回りは5%。拓銀の配当が当時どのくらいだったかは知らないが、ちょっと高すぎる気がする。

当然株式は額面以上の値で取引されるので、10億円分(利回り3%)は持っていたんじゃなかろうか。そしてそれを一度に失ってしまった。それならまぁ、発狂しても無理はないか……

埼玉の黒い家(落書きの家)の母屋と離れ

このやたらと広い敷地に母屋と離れまであるのは、自分の感覚からいうと相当な金持ちに見える。「田舎の家はこんなもん」と言われればそうなのかも知れないが……

ちなみにこの場所での筆者のお気に入りの落書きは「防火用金魚ブロ」「Are yu OK or 脳!」である。

「Sサイズに作られアバラが四角い狭い」「STOP NO 脳 止まらない人体実験」「カタワ モルモット」「恐怖 人体の変形」などと書かれた落書き

さて、それでは家主の2番目の主張に移ろう。それは「自身の健康問題」である。

埼玉の黒い家(落書きの家・電波物件) 塀には「目覚る前に手術」「NO脳切除の両半盲」などと書かれている

敷地内の落書きを総合すると、主な症状は目の不調(めまい・ものが見えない・二重に見える)、そして「体中の骨が曲げられた・切られた・小さくなった」というものだ。

そのため家主は「寝ている間に脳や骨を勝手に手術された」いきどおっている。

「まず脳から少しずつ頭を潰す」「貢献する大株主」「Big Stoch Holder」などと書かれた落書き

結論から言おう。家主は統合失調症(精神分裂病)だ。少なくともその疑いはきわめて強い。

しかしだからといって、これらを単に「妄想」で片付けて良いという話にはならない。なぜなら当の本人にとってはそれこそが「現実」そのものに他ならないからだ。これは本当に恐ろしいことである。

「角膜に数百本」「紅彩に6ヶの穴」と書かれた落書きと目のイラスト

特に目の訴えは詐病さびょうでもなんでもなく、本当に出ている症状だと思われる。それを本人なりに納得のいく原因を導き出した結果が「勝手な手術」だったのだ。そしてこれは人によって、毒電波だったり組織の陰謀だったりする。

はたから見れば妄想でしかないことに怒り狂い、家じゅうをこんなにしてしまう。ろくに治療薬がなかった昔、こういう患者を閉じ込めておくための小川脳病院の役割は決して小さくなかったんだな、と思わずにはどうしてもいられない。

県道77号線と埼玉の黒い家(落書きの家)

閑静な住宅街の一角に鎮座する、「黒い家」。

埼玉の黒い家の目の前にある、朝日バスの「上平野(八幡神社・丸谷・菖蒲車庫行き)」バス停

この事をまったく知らずにバス停を降りた利用者たちは、さぞ度肝を抜かれたことであろう。

「悪質な篠崎工務店 キッチリ1400万以上、証明も電気工事も無しで金は払った!」と黄色で書かれた落書き

ヒエッ……

シャワーホースの頭・消化器・デジカメ・分解された草刈り機・オーディオなどが括り付けられた塀

こういう人たちは何かとディスプレイしがち。

野ざらしにされた「6万5千円のケンウッド」。「FM 76~90MHzで終りさらにワイドになっていく。局間ノイズが音楽にも重なりうるさい」そうです。

幻聴の症状もあるようだ。ありもしない声や音が聞こえるというのは、統合失調症の典型的な陽性症状である(脳の働きを司る神経伝達物質の異常により起こる)。

西側から見た埼玉の黒い家(落書きの家)。塀には「ケン活で村八ごほうび」「手術で潰される 今も続く 見せしめにする」などと書かれている。

県道から少し入ったところの路地からの一枚。

埼玉の黒い家(落書きの家) 2階西側の部屋のクローズアップ

しかし撮影をしていて、先ほどからひとつ気になることがある。2階のこの閉め切った部屋から、ラジオの音が聞こえ始めてきたような気がするのだ。

向かいの道路まで聞こえてくるなんて部屋の中はすごい爆音のはずだけど……まさか私も幻聴……?

「消費税法 TAX10% 2019年」と書かれた落書き

いや、確かに聞こえている! そしてこの「2019年 消費税10%」の落書きを見るに、今もここに住人がいるのはほぼ間違いないと思われる。

ここ、廃墟じゃなかったのか……(絶句)。建物の中まで凸した記事を以前どこかのサイトで見た記憶があるんだが、まさか幻覚だった……?

県道と反対側から見た埼玉の黒い家。「ばく大な金づるを手に入れたら止らない集団と資本主義の破壊者」「残認な犯罪者のために人生と五体と財産を全て奪う法治国家」などと書かれている

母屋の裏手から。

落書きが一部塗りつぶされた埼玉の黒い家の2階の壁

2階の外壁には文字が黒く塗りつぶされて消された跡がはっきりと見える。近くここの落書きも更新・・される予定なのだろう。ブログの記事かよ(笑)

どんな主張が書かれるのか、今から楽しみである。

【廃墟Data】

状態:健在・中に人がいる模様

所在地:

  • (住所)埼玉県蓮田市大字上平野837
  • (物件の場所の緯度経度)36°01'30.8"N 139°36'51.5"E
  • (アクセス・行き方)
    【公共交通機関】JR宇都宮線「蓮田」駅西口より、「菖蒲車庫」行きのバスで約13分(18駅)。「上平野」バス停で下車して、目の前に本物件がある。
    【自家用車】圏央道「白岡菖蒲」ICより、国道122号線経由で約11分(5km)
    料金所を出てから次の十字路を右折して、国道122号線を「川口・蓮田」方面へと入る。そのまま2kmほど進むと「根金」交差点で県道88号線と接続するので、右折して「伊奈」方面へと入る。850m先の「井沼」交差点を右折して、県道77号線に入る。そこから約1.2kmほど進むと、右手に黒い家の電波落書き群が見えてくる。