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神様立ち入り禁止の家(静岡県浜松市・電波物件)

1. 概要

神様立ち入り禁止の家は静岡県浜松市にある電波物件。家じゅうの至るところに「神様」「立入禁止」の張り紙がされており、特に大通り沿いの壁に「神様(立入禁止)」と赤いペンキで大きく書かれていることから、そう呼ばれるようになった。

また、ここは知名度が全国区ではなく、地元住民くらいにしか長らく知られていなかった。そのためとにかく情報が少なく、かろうじて得られるうわさ話も互いに矛盾するなど情報は錯綜さくそうしている。それでもなるべく信頼性の高い情報を総合すると、おおむね以下の通りとなる。

  • 【家主の特徴について】
    • ここには老婆が一人で住んでいた。
    • 眼鏡をかけた小柄な人だった。腰が曲がっているので、シルバーカーを押して歩いていた。
  • 【家主の行動について】
    • 早朝に家の前で張り紙をする姿がよく目撃されていた。
    • 鎌を持って徘徊はいかいすることもあった。
    • 水路に排泄物を流したり、隣家に放火したりといった噂がある。
    • 犬を飼っていた。そして道行く人に犬をけしかけたり、家の中から犬の泣き叫ぶ声が聞こえるなど、飼育方法には問題が見られた。
  • 【その後の顛末てんまつなど】
    • 老婆は2017年頃に亡くなった(徘徊する姿を見かけなくなったため、近所の人が警察へ通報して発覚)。
    • 老婆には息子がいた(娘とも)。しかし彼もいざこざを起こして警察のお世話になるなど問題を抱えていたらしい。
  • (※情報提供くださった、みみさんをはじめ多くの方、ありがとうございました!)

また、ここがいつからこのような状態だったのかは定かではないが、少なくとも2013年の夏頃には2ちゃんねるやTwitter等で言及が見られる。そして2018年以降、まとめサイトで取り上げられるなどして少しずつ話題にはなり始めているようだ。

2. 実際に足を運んでみた

県道62号線の交差点付近から見た神様立ち入り禁止の家

県道62号線の交差点付近から見た神様立ち入り禁止の家(写真中央付近)。遠目には「ちょっと赤いかな?」程度でそこまで違和感はない。

県道62号線を挟んで正面から見た神様立ち入り禁止の家

しかし家の真横までくると、その異様さが一気に露呈する。ここから見える「神様(立入禁止)」の文字がこの家の名前の由来になった。

神様立ち入り禁止の家と、歩道に落書きされた「駐車禁止」の文字

家の目の前まで来ると、なんと道路上にも落書きされているのが分かった。似たような電波物件である埼玉の落書きの家は、公共物には落書きをしないという最低限の節操のようなものがあったが、ここではそれすらお構いなしだ。しかも完全に他人様の家の前だが、本当にいいのかこれ……?

県道62号線の歩道から見た神様立ち入り禁止の家(静岡県浜松市・電波物件)

それにしてもなぜ神様が立ち入り禁止なのだろうか? 日本では年末に大掃除をする習慣があるなど普通なら神様には来てほしいものだが、何か特別な理由でもあるのだろうか……(「家主が普通ではない」という身も蓋もない意見はとりあえず置いておく)。

県道62号線側の壁にはガムテープが貼り付けられ、その上に「神様見てる」「いのちとる」などと書かれている。

その「理由」は、意外にもすぐ判明することになる。秘密を解くカギは、この壁に貼られている様々なメッセージだ。

「神様見てる」「いのちとる」「手足口」などと書かれたガムテープ製の張り紙

一見すると色々とベタベタ貼っているように見えるが、おびただしい数の主張が書かれていた埼玉の落書きの家とは違い、ここの落書きは非常にワンパターンだ。

出てくるワードは主に「立入禁止」「神様見てる」「手足口まがる」「ぬすと(盗っ人)」「いのちとる(命取る)」の5つだけ。

つまり「泥棒は入るな。神様が見てるぞ、手と足と口が曲がるぞ。見つけ次第殺すからな」ということだろう。とにかくありとあらゆる張り紙にはただひたすらこればかりが書かれている。

「いのちとる」「神様見てる」「手足口」などと書かれた張り紙

特に「神様見てる」は至るところに頻出する。すなわちあの大きく書かれた「神様(立入禁止)」も、神様が立ち入り禁止なのではなく、神様が見ているから立ち入りは止めろということだったのだ。なんて分かりづらい……😓

「神様」「太郎君元気」などと書かれた張り紙

犬の太郎君も見ていると警告している。

「神様・太郎君」などと書かれた犬の糞を持ち帰りましょうの看板

駐車禁止の禁の字もそうだったが、漢字の下の方の点を丸く書く癖があるようだ。この写真には無いが、手足口の「手」という漢字もどう見ても「牛」にしか見えない独特の書き方をする。

「神様(立入禁止)」の赤い落書きと様々なガムテープの張り紙

目の前を通る県道62号線は浜松駅と浜名湖を結ぶ幹線道路であるため、かなりの交通量がある。そこにこんな家があったら、そりゃあ地元で噂にもなるだろう。

住宅地側から見た神様立ち入り禁止の家

さて、県道から反対側の方にも回ってみた。こちらも道路上にまで落書きされている。お向かいさんはこの家のことをどう思っているのだろうか……

(※ 向かいの住民の方からコメントをいただきました。特に夜中は見物に来られると迷惑になるので来訪は控えてほしい、とのことです)

住宅地側の張り紙は剥がされた跡が生々しく残る

こちらも県道側と主張は同じ。「神様見てる 大バチ当る」「立入禁止 手足口いたむ」「猛犬に注意」。ただ、張り紙(張りガムテープ)が中途半端にめちゃくちゃ剥がされた跡があるのが気になるといえば気になる。

神様立ち入り禁止の家の出入口正面はバリケードで塞がれている

家の入口は完全に封鎖されている。これでは生活で普段出入りするのにすら支障をきたすだろう。そもそもアコーディオンフェンスも柵に紐でくくり付けられていて、開閉を想定していないように見える。

神様立ち入り禁止の家の出入口内部

フェンス越しに中を覗いてみる。

勝手口へと繋がる通路も「神様見てる」「ぬすと いのち(と)る」の看板などで封鎖されている

ここにも「神様見てる」「いのちとる」の嵐。この奥は勝手口へと繋がっているが、そちらも外側から完全にふさがれていた。

この「どこからも入れない」というのが、住人はいないとする説の最大の根拠のようだ。筆者がお邪魔したこの時も、家の中から人の気配などは感じられなかった。

家の玄関へと続く通路はたぬきの置物や象のジョーロが侵入者(ぬすと)に目を光らせている

しかしたとえ住人が居なくとも、この家に勝手に入ろうとする勇気の持ち主はそういないだろう。家の玄関へと続く通路は、たぬきの置物や象のジョーロが侵入者ぬすとに目を光らせている。ヘタな監視カメラよりも、よっぽど強力な防犯体制だ。

神様立ち入り禁止の家の前を行き交う、自転車に乗った男子高校生や車

県道側へと戻ってきた。家の目の前を男子高校生がさっそうと自転車で駆け抜けていく。もはや見慣れたのか気にもしていないようだ。

【廃墟Data】

状態:健在

難易度:★☆☆☆☆(最低) 公道上から眺めるのみ

駐車場:なし

所在地:

  • (住所)静岡県浜松市西区入野町10183-17
  • (物件の場所の緯度経度)34°41'55.4"N 137°40'09.6"E
  • (アクセス・行き方)東名高速道路「浜松西」ICより、県道65号線→62号線経由で約20分(11km)。
    料金所を出てすぐ分岐を右方向に進み、「浜松西IC」交差点を右折して県道65号線を雄踏・舘山寺方面へと入る。そのまま8.5kmほど進み、「南九領橋」交差点を左折して県道62号線に入る。そして2kmほど行った先に橋があるので、それを渡ってすぐの交差点の角(ABCマートの向かい)に神様立ち入り禁止の家がある。