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化女沼レジャーランド

1. 概要

化女沼レジャーランドとは、宮城県大崎市の化女沼けじょぬまほとりにある遊園地の廃墟である。2000年代に入り遊園地の廃墟が次々と解体される※1なか、2021年の今も残る「観覧車のある廃墟」として全国的にも貴重な存在である。

そのため、ここは映画やドラマなど様々な映像作品のロケ地として使われることがある。近年では、2020年に新垣結衣出演のGMOクリック証券のCMがここで撮影された。また、アニメ作品の有名どころでは、魔法少女まどかマギカ(まどマギ)の「はん逆の物語」という作品のオープニングで、この廃墟の観覧車が背景のモチーフとして使われている(2つとも詳しくは後述)。

他にも見学ツアーが不定期で開催※2されたりコスプレ撮影で使われたり※3など、化女沼レジャーランドは閉園後もそれなりに活用されてきた。このように需要があることも手伝ってか、所有者・管理人である後藤孝幸社長はここを売りに出していた時期もあった。しかし希望金額が5億円と高額だった※4ため、売却先はついに見つからなかったようだ。

その後、有志により1億2000万円を目標としたクラウドファンディングが立ち上がるも結局それも頓挫※5。現在は3億円弱に値下がりして某不動産会社を通じて売りに出されている※6

2. 実際に足を運んでみた

化女沼レジャーランドの観覧車・トラバント・メリーゴーランド・回転ブランコ

化女沼レジャーランドには大小様々な施設があるが、その中でも一番おいしいのはやはりこの一帯の遊具だろう。

写真中央の手前側にはメリーゴーランド。その奥には「トラバント」という回転系のアトラクションが続き、一番奥に観覧車が見える。写真右手にあるキノコ形のものは回転ブランコの骨組みで、現役時はここから傘の骨のようにブランコがたくさん吊り下げられていた。

化女沼レジャーランドのトラバント(回転系のアトラクション)

メリーゴーランドと観覧車の間にある「トラバント」。花柄をあしらったゴンドラが写真左手の鉄球部分を軸に回転する遊具である。写真中央の奥には小さくコーヒーカップが見える。

白馬(ユニコーン)と白い馬車(化女沼レジャーランド・メリーゴーランド)

しかし何と言っても、この廃墟の醍醐味はやはりこのメリーゴーランドだろう。

メリーゴーランドのたてがみが黒いユニコーン

ここを目的に全国から数多くの廃墟愛好者が訪れる。

陽光の中のメリーゴーランドと観覧車(化女沼レジャーランド)

往時は子供たちの夢をいっぱいに乗せて運んだことだろう。

メリーゴーランドの白馬と白いユニコーン

白馬もユニコーンも、みな一様に優しい顔をしている。

白目の描かれたシュールな白馬(化女沼レジャーランド・メリーゴーランド)

……中にはそうでないのも居るようだが。
しかしなぜ馬の目に白目を描いたし🤣 こういうクオリティのバラつきが、何ともいえない地方の遊園地らしさかもし出していて実に良い。

メリーゴーランドの仲間たち(アヒル・馬・象・ライオン)

ちなみに、このメリーゴーランドを回るのは馬や馬車だけではない。アヒルやライオン、オットセイなど、ゆかいな仲間たちがいる。

ダンボに似た別の何か(化女沼レジャーランド・メリーゴーランド)

あれ……? 俺、このゾウどっ……かで見たことあるんだが……?
2Pカラーかな???

こういう著作権的にギリギリのラインを攻めてくる所なんかも、USJなどのメジャーな遊園地では決してたん能することのできない深い味わいがある。

3. ロケ地としての化女沼レジャーランド

化女沼側から見た化女沼レジャーランドの観覧車(アップ)

化女沼のそばを通る道路からは、この廃墟のシンボル的存在である観覧車がよく見える。

遊園地の廃墟ならばまだ全国にいくつか存在するものの、「観覧車がある廃墟」となると国内で残っているのはもうここと、あとは北海道のグリュック王国くらいではなかろうか。

そのため日本の様々な映像作品でこの廃墟が使われているのは、記事冒頭でも述べた通りである。

劇場版 魔法少女まどかマギカ(まどマギ)「叛逆の物語」 オープニング(背景に化女沼レジャーランドの観覧車)

(▲ 魔法少女まどかマギカ はん逆の物語 より)

(▲ GMOクリック証券「New Life is ...」篇

4. 他の遊戯施設

化女沼側から見た化女沼レジャーランドの観覧車周辺の敷地

観覧車の手前にはアスレチックコースが広がっている。

化女沼レジャーランドのアスレチック遊具(ターザン)

こういうターザン系の遊具って、子供の頃はすっっっごく楽しいんだよね……。

ターザンの終点部分のタイヤクッション

かつてはここでもきっと、行列ができていたに違いない。

回転系のアスレチック遊具

アスレチック遊具のうち金属の骨組みで支えられている部分はよく持ちこたえているが、それ以外の部分はだいぶ朽ちてきてしまっている。

手作り感あふれるピンク色のシーソー

公園ならともかく、遊園地でシーソーってなかなか無い気がするな。それにしても、この圧倒的手作り感……!

草むらの中に横たわる化女沼レジャーランドのミニSL

敷地内を一周するミニSL──これもターザンに負けず劣らず人気のアトラクションだ。子供の頃はこういうのに乗るのが本当に楽しかったのを今でも覚えている。

その酷使しきった体を柔らかい草のベッドに横たえて、彼は今静かに眠っている。

化女沼レジャーランドの廃飛行機 FA-200「エアロスバル」

草むらには飛行機も横たわっていた。これはもともと遊具ではなく、富士重工業製のFA-200「エアロスバル」という本物の飛行機を改造したものらしい。

有料でコックピットに乗り込むことができたようで、こういうのも子供はメチャクチャ喜んだだろう。

化女沼レジャーランドの売店

化女沼レジャーランドの正規の入口から入ってまず見えるのがこの売店だ。これまでに見てきた観覧車やアスレチックは、実はこの廃墟の敷地の奥側(裏側)にあたる。

レジャーパークゴルフ場(打ちっぱなし)。フィールドは一面黄色いブタクサで覆われている。

売店のすぐ裏にはゴルフの打ちっぱなしがある。つまりこの遊園地は子供もお父さんも楽しめてしまうという親切設計なのだ……!

しかし廃墟となって以降はフィールドが一面のブタクサに覆われており、人によっては今やこの世の地獄と相違ないだろう。

レジャーパークゴルフ場の2階にずらりと並ぶ配球機。

ずらりと並ぶ配球用の機械。写真右奥の草むらの間には、観覧車がわずかに顔をのぞかせている。

化女沼レジャーランド 黄昏の観覧車

昭和54年(1979)に「化女沼保養ランド」として開園して以来、宮城では人気の観光スポットとなった化女沼レジャーランド。最盛期には年間20~30万人もの来園者が訪れおおいに賑わったという。

しかしバブル崩壊を機に客足が遠のき、平成13年(2001)に惜しまれつつも閉園。そして観覧車も時を止め、今ではゴンドラが風に揺れる悲しげな音だけが辺りに響いている。

5. 心霊スポットとしての化女沼レジャーランド

ちなみにこの化女沼けじょぬまには蛇の仔を産み沼へ身を投げたという照夜てるや姫の伝説が言い伝えられており、これがその風変わりな名前の由来にもなっている※7

この話の内容が見ようによっては怖いことや、「化女沼」という名前がそもそも意味深で不気味なこと、そして沼のほとりには化女沼レジャーランドという目立つ廃墟があることなどから、この周辺は心霊スポットとして扱われることがある。

心霊的な噂としては「沼から赤ちゃんの泣き声がする」とか「夜になると女性がすすり泣く声が聞こえる」などと言われている※8

しかし心霊番組の「映っちゃった映像GP」がヤラセ丸出しのあまりにもお粗末なロケをやらかした※9ことから、ここが心霊スポットだという事そのものにすら今疑問符が投げかけられている状態のようだ。

問題のVTRは以下のYouTubeより。

【廃墟Data】

状態:健在 売却用の管理物件 機械警備導入(ホテル・化女沼お姫館)

難易度(観覧車等の遊園地):★★☆☆☆(低)

難易度(ホテル・化女沼お姫館):★★★★★(最高) 実質、探索は不可能

駐車場:なし

所在地:

  • (住所)宮城県大崎市古川小野遠沢10-65
  • (物件の場所の緯度経度)38°37'56.3"N 140°57'58.4"E
  • (アクセス・行き方)東北自動車道「長者原」スマートIC(上り)より約3分(1.3km)。
     ICを下りて突き当たりを右折して、次のT字路を右折。「ファミリーロッジ旅籠屋・長者原SA店」を右手に通りすぎ、次のT字路を左折、さらにその次のT字路を左折。そのまま道なりに700mほど進むと左手の草むらの中に大きな観覧車が見えてくる。
     また、下りの「長者原」スマートICからもほぼ同様にアクセスできる。観覧車を見るのではなく、化女沼レジャーランドの本来の入り口へと向かいたい場合は、この場所から遊園地を挟んで反対側へと回ればよい(約4分、2.2km)。