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浅間園展望台(旧・浅間火山博物館)

浅間園展望台とは、群馬県の活火山「浅間山」のすそ野にかつてあった観光施設の廃墟である。

探索時期は2008年とかなり古いが、浅間園も最近は全面板張り&監視カメラ付きで探索が事実上不可能になってしまったらしく、追悼記事として内部探索の記録をここに載せる。

浅間園展望台_01

まだ残雪の厳しい3月、我々は全国でも珍しい展望台・博物館の廃墟を目指していた。

浅間園展望台_02

暖かくなってきたとはいえ、ひざ下まで埋まる雪に、思うように歩を進められない。

浅間園展望台_03

ついに目の前までたどり着いた。雪中行軍に苦労した分、感動もひとしお。

浅間園展望台_04

この頃はまだ板張りの気配すらなかった。

浅間園展望台_05

さあ、お邪魔しよう。

浅間園展望台_06

正面ロビーには何もなかった。昼も大分過ぎ、日が随分と傾いている。

浅間園展望台_07

ロビーの奥は資材置き場として使われていた。

浅間園展望台_08

エントランスの横の、倉庫の様な部屋。

浅間園展望台_09

ここにはレジが残されていた。写真中央下のピンク色の「鬼うどん」がひときわ目立つ。

この「鬼」とは、浅間特有の溶岩地形「鬼押出し」にかけていると思われる。実物はどんな風だったのだろうか……1回食べてみたかった。

浅間園展望台_10

螺旋階段を登り、二階へ。

浅間園展望台_11

お土産屋さんだろうか? 達筆すぎて読めない。

ここを通り過ぎて左奥のオレンジ色の扉の前まで進む。

浅間園展望台_12

割れたガラス窓の間からは、夕刻の日に照らされた浅間連峰がその幽玄な姿を晒している。これぞ廃墟美。

「浅間の風の破壊美」 浅間園展望台

ガラスは内側に向かって落ちている。外側には立てるような場所などない。

つまりこれは人為的な破壊などではなく、浅間連峰から吹き降ろす厳しい風──自然の力による破壊ということだ。

まったく、実に美しい

浅間園展望台_13

部屋には浅間山が噴火した時の写真が飾られていた。日付は「1958年12月5日午後1時8分」とある。相当な爆音と降灰であったろうことは写真の迫力からまざまざと伝わってくる。

──と、ここでタイムアップになってしまった。まだ日が沈むには時間があったのだが、隣接する現役施設の館外放送で我々の車のナンバーが先程からしきりに放送されているためだ。閉館時間のため速やかに退去せよ、と。

浅間園展望台_14

なごり惜しいが、ここまでとなった。

振り返り、浅間園を見渡す。まだ剥製などを見ていないので、次回の探索ではぜひ見たいと思っていた。それがまさか全面板張りになってしまうとは。

まさに廃墟はナマモノ。一期一会。破壊美と展望のコラボレーションが素晴らしい、美しい廃墟だっただけにとても残念だ。これも廃墟の運命として、受け入れるしかないのか──

(※ 追記:その後、2013年に浅間園は解体されました)

【廃墟Data】

状態:解体済

所在地:

  • (住所)群馬県吾妻郡嬬恋村鎌原
  • (物件の場所の緯度経度)36°26'21.6"N 138°32'04.2"E