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「白亜の迷宮」 -白石工業桑名工場-

白、白、白、どこまでも続く白──

薄暗い廃墟の奥に隠された、目のくらむような銀白の世界。

ひとたびここへ迷い込めば、抜け出すことさえ忘れて身も心も永遠に囚われてしまうだろう。

「白亜の回廊」(白石鉱山)

「白亜の迷宮」

──誰ともなしに、ここはいつしかそう呼ばれるようになった。

石灰の乾燥施設の内部

それはまるで、白昼夢の中を彷徨さまようがごとく──

天井に空いた穴からの雨水が、「白の部屋」の中に緑の彩りをもたらしていた

天井からの雨水は、「白の部屋」と呼ばれる純白の世界に緑のいろどりをもたらしていた。

石灰の積まれたトロッコが、二度と来る事のない出荷を待つ。

石灰の粉が積み込まれ、スタンバイ状態のまま放置されたトロッコ。
二度と来ることのない出発を、ここでずっと待ち続けている。

【廃墟紹介:白石しらいし鉱山】

白石鉱山(白石工業桑名工場) 上部全景

(▲ 鉱山の上部遺構群全景)

かつて日本を代表した石灰鉱山の廃墟。純白の石灰化粧をされた巨大な遺構群が廃墟愛好家たちの心をわしづかみにし、いつしか「白亜の迷宮」の雅名がめいで呼ばれるようになった。

正式名称を「白石工業桑名工場」という。白石工業そのものは、2021年現在も百数十億円の年商を誇る現役企業である。また、所在地の地名から「藤原鉱山」とも呼ばれていた。

鉱山の開鉱は大正10年(1921)。しかし石灰石(炭酸カルシウム)市場には次々と新規参入者が現れて、競争が激化した。そして昭和44年(1969)、桑名工場は操業を停止した。

その後も関連施設がそのまま残されていたが、今で言う非常にバエる廃墟だったため、廃墟マニアのみならずコスプレイヤーにとっても人気の高い廃墟だった。

そんな中、廃墟内で不審火がたびたび発生するようになる。これを受けて2010年頃には機械警備が導入され、2012年6月にはついに解体工事が始まった。

そして2015年までに、主要な構造物はすべて撤去された。2021年現在、跡地にはただ更地が広がるばかりで、かつての面影はもうどこにも残されていない。

【廃墟Data】

探訪日:2012年5月上旬

状態:解体済

難易度:─

駐車場:近隣の「篠立パーキング」を利用(無料・トイレつき)→ 地図

所在地:

  • (住所)三重県いなべ市藤原町篠立3999
  • (物件の場所の緯度経度35°12'28.5"N 136°26'58.6"E
  • (アクセス・行き方)下記地図を参照