概要
全国有数の温泉地として知られる栃木県の鬼怒川温泉。かつて日本がバブル景気に沸いた80~90年代、この鬼怒川も例に漏れず温泉客でおおいに賑わった。ピーク時の1993年には、年間341万人もの宿泊客を数えたという※1。
しかしバブル崩壊と共に客足は急速に遠のき、旅館の中には廃業するものが続出。ついには温泉街の北のエリアで、鬼怒川沿いの東岸に建っていたホテルがひとつ残らず廃墟になるに至った(記事冒頭の写真)。
団体客の受け入れを前提として次々に大型化していったホテルが一挙に廃墟となったさまは圧巻であり、まるで廃墟が連なったひとつの巨大な山脈のようである。今ではむしろこれを目当てに鬼怒川へ訪れる者もあり、一風変わった観光スポットとして密かに脚光を浴びつつある。
また、その迫力ある姿から心霊スポットとされることもある。しかしここに心霊的なうわさ話はほとんどなく、あっても「かっぱ風呂から悲鳴が聞こえる(← それ探索者の悲鳴だろw)」程度のもの。これといった事件もなく、他の出る廃墟に比べれば心スポとしての格は落ちるだろう。
それでは以下に、これら鬼怒川の廃墟ホテル群を物件別に見ていこう。なお、本記事ではそれぞれの廃墟を広く浅く触れるに留める。より詳しく見たい場合は、各章の最後に置いてある詳細記事のリンク先へ飛ぶと良い。
1. 元湯 星のや
2. きぬ川館本店(かっぱ風呂)

鬼怒川沿いに林立する廃墟ホテルのうち最も巨大で、最も美しく、そして最も有名なのがこの「きぬ川館本店」である。また廃業したのも最も早く、まだ営業していたのに従業員をそのまま置き去りにして経営陣が逃亡したことでも知られる。
ちなみに残された従業員はその後、予約の入っていた宿泊客のために何とか最後まで自転車操業を続けたと言われる。
3. 鬼怒川第一ホテル

このホテルの温泉は、ラジウムの湯や打たせ湯など8種類が楽しめる「鬼怒の八湯」として宿泊客をもてなしていたらしい。
そしてお隣のカッパへの対抗意識からか、ここにはカエルが何匹かあしらわれている。造りはこのカエルの方がはるかに良いが、どちらが印象に残るかと言われればやはりあのクソガッパの方であり、「営業」という観点から見るとどうしても後者に軍配が上がってしまう。
モノは出来が良いほうが優れるとは限らないんだなあ、としみじみ思う。
※この廃墟の詳しい探索記事はこちら →【内部探索】鬼怒川第一ホテル
4. 鬼怒川観光ホテル 東館
鬼怒川観光ホテル 西館(解体済)

また、かつてはこれら廃墟ホテル群の並びに、写真の「鬼怒川観光ホテル西館(安らぎ館)」もあった。平成19年(2007)頃に解体されており、現存しない。
もし今もこのホテルが残っていれば、鬼怒川の廃墟ホテル群はもはや他の廃墟の追随を許さない圧倒的な存在となっていただろう。いち廃墟愛好家としては、解体されたのが本当に残念でならない。

当時のパンフレットには、同ホテル5階の「お好みコーナー」の写真が残されていた。写真のゲイシャ・ガールとスシ・マスターがなんとも言えない良い味を醸し出している。
今はもうありそうでどこにもない「ニッポン」の姿を見れたようで、何だか嬉しい。
※この廃墟のより詳しい解説記事はこちら →鬼怒川観光ホテル 西館(安らぎ館)
6. 滝見橋からの眺め、他
7. 各廃墟のより詳しい探索記事の一覧
- 元湯 星のや ※詳細記事はありません
- きぬ川館本店(かっぱ風呂)
- 鬼怒川第一ホテル
- 鬼怒川観光ホテル 東館
- 鬼怒川観光ホテル 西館 ※解説のみ
※ この廃墟の空撮動画は制作中です(↓)

(▲ 川を挟んで廃墟ホテル(左)と現役ホテル(右)がそれぞれ向かい合う様子・鬼怒川上空よりドローンにて撮影)
記事の更新を優先するため、動画の制作を後回しにしています。撮影は終えていますが、年内にはまず完成しません。もしできあがったら管理人のTwitterにて告知します。ブログでも告知できたらいいのですが、そのための適切なスペースがありません、すいません……
【廃墟Data】
状態:健在
難易度:★☆☆☆☆(最低)※滝見橋からの見学
駐車場:滝見公園の無料駐車場を利用(→地図)
所在地:
- (住所)栃木県日光市藤原2番地(廃墟群中央・きぬ川館本店)
- (物件の場所の緯度経度)36°50'11.4"N 139°43'18.1"E(廃墟群中央・きぬ川館本店)
- (アクセス・行き方)
【自家用車】日光宇都宮道路「土沢IC」より、国道121号線(共通区間:国道352号線)経由で約30分(18km)
【公共交通機関】東武鬼怒川線「下今市駅」より新藤原行きに乗車。約50分(7駅・運賃260円)後「鬼怒川公園駅」にて下車、駅より徒歩約3分(300m・滝見橋)