今後は全5回に渡って、廃墟「姫川病院」の内部をじっくりと詳しく紹介していく。階ごとに記事を分けており、それぞれ以下の通りとなる。
- 新館1階(受付・診察室・薬局など)←本記事
- 旧館1階(霊安室・検査室など)
- 2階(手術室・病棟など)
- 3階(理事長室・ICUなど)
- 4階(院長室・スタッフルームなど)
こうした各論ではなく、おおまかな概要を知りたいという場合は、前回の姫川病院のまとめ記事を見るとよい。
本記事の概要
1. 受付・待合室
2. 診察室

内科の診察室は全部で5つ。ここにはそれが4つ隣どうしで並んでいる。どのブースもなぜか机が撤去されており、シャウカステン(レントゲン写真などを透かして見るための照明装置)と椅子だけが残されていた。
天井からぶら下がっている2つのケーブルは、それぞれ酸素ガスの供給と吸引のためのラインだ。ガスの種類ごとに接続部の色が決まっていて、手術室やICUなどにも設置されている。
3. 事務局

おっまwww 職員の個人情報がまるまる残っとるやんけwww 処分してけって! 廃墟マジで恐いわ😱
これは病院長だった神保氏のデータだ。彼は国立医大を卒業後、内科医としていくつかの病院を経験。姫川病院へは開院から3年後の平成2年(1990)に移ってきたようだ。
4. 薬局

棚から取り出して計量した粉薬は、自動分包機を使って1回分ずつ小分けされる。
たとえば写真のこの装置。中央の漏斗部分に薬を流し込むと、あとは均等に自動で分割してくれる。ただ、こんなに古い型を筆者は見たことがない。

これも古い型だが、このくらいなら今でも使っている薬局はたくさんあるはずだ。この装置は上の穴には錠剤やカプセルを、下の溝には粉薬を入れて使う。
欠点は毎食後の処方だと1週間分までしか一度に調製できないこと。

隣の部屋にはアンプル剤が多数残されていた。細いやつはくびれた所でガラスを折り取って使い、太いやつはフタを取り外してゴム栓に注射針を刺し込んで使う。いずれも1回使い切り。
しかしこの薬局で気になるのは、置いてある薬が粉やアンプルばかりで、肝心の錠剤とかカプセルがまったく見当たらない点。たとえ入院患者のみの処方だとしても必要だと思うのだが……

この病院の凄いところは、写真の刻み生薬を使って漢方薬を一から製造していた形跡があること。ここまでするのは、専門医がいて漢方に相当力を入れている病院か、専門の漢方薬局くらいだ。
イメージとしては、出来合いの漢方薬が市販のインスタントコーヒーならば、こちらは専門店のバリスタが豆をブレンドして挽いてくれたコーヒーにあたる。手間もお金もかかるが個人個人に合わせた高品質なものができあがる点も同じだ。
しかし写真を見てわかる通り、生薬の袋は未開封品ばかりが目立つ。少なくとも病院の末期はここまで手が回っていなかったようだ。また、こうしたオーダーメイドの漢方処方は採算を取るのが難しいので、経営悪化のためあえて打ち切った可能性もある。