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鬼怒川第一ホテル

概要

鬼怒川第一ホテルとは、栃木県日光市の鬼怒川温泉にあるホテルの廃墟である。前回紹介した「きぬ川館本店」と合わせて、鬼怒川の巨大廃墟群において文字どおり双璧をなす廃ホテルである。

昭和31年(1956)に、今も現役の「あさやホテル」の支店として開業したのがこのホテルの始まり。すぐ隣の「きぬ川館本店」とはライバル同士で、お互いが競い合うようにして増改築を繰り返した。その結果、本ホテルは500名以上が宿泊できる巨大旅館へと変貌した。

ほとんどくっつき合うようにして隣接する鬼怒川第一ホテルときぬ川館本店

(▲ ほとんどくっつき合うようにして建つ2つの旅館。手前の白っぽいのが鬼怒川第一ホテルで、奥と左の黄色っぽいのがきぬ川館本店。)

しかしその巨額の投資が、後に足を引っ張ることになる。バブル崩壊後は団体旅行の需要が激減し、団体客の受け入れを前提として巨大化したホテルは経営に苦しんだ。

そして平成20年(2008)11月に、鬼怒川第一ホテルは閉館。翌年1月には、あさやホテルの関連会社からここの運営を引き継いでいた第一商事(株)が倒産した。負債総額は約3億9000万円。

鬼怒川を挟んで向かい合って並ぶ鬼怒川第一ホテルとあさやホテル

令和4年(2022)現在も、鬼怒川沿いにはかつての本店と支店が川を挟んで向かい合わせに並んでいる姿が見られる。右が元本店で現役の「あさやホテル」、左が元支店で廃墟の「鬼怒川第一ホテル」である。

実際に行ってみた

鬼怒川第一ホテルを道路側から見た外観

道路側から見た鬼怒川第一ホテルの外観。この道は鬼怒川の東岸を走る唯一の道であるため、車の往来はかなり激しい。

鬼怒川第一ホテルの立面図

このホテルの模式図がこちら。なかなか複雑だが、これでもお隣のきぬ川館よりは大分マシである。

また、崖っぷちに建つホテルなので入口から入るといきなり6階という造りになっている。

6階ロビー

ホテルのロビー(6階)。ホテルに着いた宿泊客がまず最初に来るのがここだ。

ソファーの後ろには、資材が詰められたダンボールやビニール袋が積まれている。閉館するとはいえほったらかしにせず、きちんと片付けようとした跡が感じられる。

ロビー天井の流れるような紫色の装飾

ロビーの天井には美しい装飾がきらめいている。鬼怒川の流れを模したものだろうか。

6階ロビーの南側の一角

日の差し込むロビーの南側の一角。ここはヨルシカの「パレード」という曲のミュージックビデオのロケ地に使われている。

ちなみにお隣のきぬ川館本店の客室なども、パレードのMV中に登場する。

娯楽施設

6階 クラブ「スターライト」

ロビーの奥には、クラブ「スターライト」がある。

現役当時のクラブ「スターライト」

当時はこういう感じだったらしい。撮影用とはいえ、芸者さんが宿泊客の相手をしているのが時代を感じる。

5階 カラオケボックス

カラオケボックスも完備。

現役当時のカラオケボックス

現役当時の様子。今とあまり変わらない。

客室・宴会場

鬼怒川第一ホテルの客室(402号室)

402号室。このホテルの客室はどこもこんな感じだ。

5階 大宴会場「弥生」

大宴会場「弥生やよい」。3区画の合計は150畳と、このホテルでは最大の大広間である。ここは主に宿泊客へ夕食を提供する場として使われた。

大宴会場弥生の片隅に残されていた「商売繁盛」と書かれた開運のしゃもじ

商売繁盛を願った開運のしゃもじが物悲しい。

宴会場「きさらぎ」の1から3までが並ぶ廊下

宴会場が続く廊下。

5階 宴会場「きさらぎ」

宴会場「如月きさらぎ」。3区画の合計は100畳で、1区画あたり30畳強と先ほどの「弥生」に比べるとやや小ぶり。ここも夕食の会場として使われたようだ。

5階 レストラン「桃山」

レストラン「桃山」。ここは素晴らしい外の眺めを生かして、景色の楽しめる朝に食事が振る舞われた。

レストラン桃山内のコーヒーメーカー

かたわらに置かれていたコーヒーメーカー。ここの朝食はビュッフェ形式で、好きなものを好きなだけよそって食べられたらしい。まったく、最高だな!

温泉

1階 男子脱衣所

男子脱衣所。なぜか無駄に眺めの良い造りになっている。いやん。

鬼怒の八湯の案内図が描かれたガラス

このホテルの売りである「鬼怒の八湯はっとう」がこちら。ラジウムの湯や打たせ湯など、8種類の温泉が楽しめた。右手のガラスには、1~8番まで番号順に入るように案内が書かれている。

また、ここはお隣のホテルのかっぱ風呂のように男性専用だなんてことはない。ちゃんと時間による男女入れ替え制である。女子大浴場からは直接この八湯にアクセスできる造りになっているなど、男子にはない特別な配慮までされている(男子はいったん大浴場を出て廊下を通らないとここには来れない)。

大浴場「鬼怒の八湯」内部

写真に見える浴槽は、右奥から反時計回りに入るのが順序。右奥がマコモの湯(2番)、左奥は打たせ湯(3番)、手前は浅い歩行湯(4番)である。ただ、浴槽脇の掲示ではマコモの湯は「オリーブの湯」となっている。

現役当時の鬼怒の八湯

当時はこんな感じだったらしい。これは歩行湯を別角度から見たもの。写真奥には松の香りが楽しめる「松精の湯(7番)」が見える(廃墟化後は「季節の湯」となっている)。

この鬼怒の八湯で提供されていた源泉は、温泉ファンに支持された「元湯 星のや」の採泉地と同じだったと言われ、泉質の評判も良かったらしい。

ラジウムの湯

八湯のトリを飾るのはこのラジウムの湯(8番)。壁の案内板によればクレオパトラも愛用したらしいけどホントかよ??? 2000年以上も前の人だし、こんなの完全に言ったもん勝ちだなwww

鬼怒川第一ホテルの大浴場のカエルの置物

このホテルの温泉には、お隣のカッパへの対抗意識からかそこらじゅうにカエルがいる。

造形物としての出来は完全にこのカエルの圧勝だが……どちらが印象に残るかと言われれば、やはり圧倒的にあのクソガッパの方である。

終わりに

夕暮れの鬼怒川第一ホテル。奥には鬼怒川観光ホテル東館の廃墟が小さく見える。

(▲ 夕暮れに染まる鬼怒川第一ホテルの巨大廃墟)

前回・今回と2回に渡り、鬼怒川の廃墟ホテルのツートップである「きぬ川館本店」と「鬼怒川第一ホテル」を詳しく紹介した。

今回紹介した第一ホテルは、きぬ川館に比べるとおおむね保存状態が良く、きれいな部屋が多い印象だ。造りそのものもより近代的で、きぬ川館のような古臭さはそこまで感じなかった。

次回最終回は、この2つとはやや離れた場所にある「鬼怒川観光ホテル東館」を詳しく見ていく。上の写真の中央右付近に小さく写っている茶色のビルがそれである。

「鬼怒川温泉の廃墟ホテル群」より、鬼怒川第一ホテル 了)

【廃墟Data】

状態:健在

難易度:★★★☆☆(普通)or 探索不可能? ※2022/3末に入口の封鎖工事を実施

駐車場:鬼怒川戊辰公園付近の無料駐車場を利用(→地図

所在地:

  • (住所)栃木県日光市藤原2-30
  • (物件の場所の緯度経度)36°50'09.9"N 139°43'16.4"E
  • (アクセス・行き方)
    【自家用車】日光宇都宮道路「土沢IC」より、国道121号線経由で約30分(18km)
    【公共交通機関】東武鬼怒川線「鬼怒川公園駅」より徒歩約8分(650m)