概要
鬼怒川観光ホテル東館とは、栃木県日光市の鬼怒川温泉にあるホテルの廃墟である。鬼怒川の廃墟ホテル群では唯一、南側の離れたところにぽつんと建っている廃墟だ。
本ホテルは、今も現役の「鬼怒川観光ホテル」の別館であった。経営はあの岡部ホテルグループであり、当時鬼怒川温泉では株式会社あさやホテルと並ぶ大御所だった。
しかし平成15年(2003)、バブル崩壊のあおりを受けてメインバンクの足利銀行が破綻すると、岡部グループは経営危機に陥った。そのためグループ内の不採算部門が整理され、その過程で本ホテルは平成20年(2008)に閉鎖された。
なお、岡部ホテルグループはその後の平成23年(2011)3月に事実上倒産している。今も現役の鬼怒川観光ホテルを運営しているのは、経営権を買い取った大江戸温泉物語グループである。
実際に行ってみた
地下1階:大浴場・宴会場

地下1階の男子大浴場前。O-157とか懐かしいな……流行ったのって、たしか平成の前半頃だっけか。集団感染があるたびに、メディアでしきりに騒いでいたのをよく覚えている。
しかし今から思えば、COVID-19に比べたらハナクソみたいなもんだったな。こっちは全国の旅館を廃業に追い込んた実績もだいぶ上だろう。鬼怒川温泉でも、ここから北にある「鬼怒川秘極の湯」がコロナを理由に現在休館している。
地下2階:機械室・調理室など
地上2階~:客室
最上階:スカイラウンジ
西館(安らぎ館)

また、かつては写真の「西館(安らぎ館)」も存在した。平成19年(2007)頃に解体されており、現存しない。場所はこの「東館」と鬼怒川第一ホテルの間にあった。
つまり、もし今も残っていれば鬼怒川の廃墟ホテル群は、もはや他の廃墟の追随を許さない圧倒的な姿となっていたはずだ。いち廃墟愛好家としては、解体されたのが本当に残念でならない。

その西館の案内が、この東館に残されていた。先ほどの写真でも小さく写っていたが、左奥の天守閣っぽいのがハチャメチャ気になる。そのことも込みで、解体が残念で仕方がない。
せっかくなので掲載されている写真の一部をクローズアップして、当時どんな様子だったのかを見てみよう。

こちらは西館5階の「お好みコーナー」。写真のゲイシャ・ガールとスシ・マスターがなんとも言えない良い味を醸し出している。
今はもうありそうでどこにもない「ニッポン」の姿を見れたようで、何だか嬉しくなる。
(▲ 当時放映されていた「鬼怒川観光ホテル 安らぎ館(西館)」のCM)
終わりに

(▲ 鬼怒川に架かる橋の上にある、やけにイカした彫像)
以上で「鬼怒川観光ホテル東館・西館」の紹介を終える。これまで全3回に渡って見てきた鬼怒川温泉の廃墟ホテルだが、その中に読者の皆さんに気に入ってもらえる廃墟があったなら幸いである。
(「鬼怒川温泉の廃墟ホテル群」より、鬼怒川観光ホテル東館・西館 了)
鬼怒川の各廃墟ホテルの記事一覧
- 元湯 星のや
- きぬ川館本店(かっぱ風呂)
- 鬼怒川第一ホテル
- 鬼怒川観光ホテル 東館 ※本記事
- 鬼怒川観光ホテル 西館 ※本記事
【廃墟Data】
状態:健在
難易度:★★☆☆☆(低)
駐車場:鬼怒川戊辰公園付近の無料駐車場を利用(→地図)
所在地:
- (住所)栃木県日光市藤原1604
- (物件の場所の緯度経度)36°50'00.2"N 139°43'12.6"E
- (アクセス・行き方)
【自家用車】日光宇都宮道路「土沢IC」より、国道121号線経由で約30分(18km)
【公共交通機関】東武鬼怒川線「鬼怒川公園駅」より徒歩約11分(950m)