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鱒池亭

1. 概要

鱒池亭(ますいけてい)とは三重県伊賀市にある割烹かっぽう旅館の廃墟である。三重県でも指折りの心霊スポットに数えられ、経営に行き詰まり一家心中をしたオーナー家族の霊が、夜な夜な姿を現すと言われている。

1-1. 鱒池亭の歴史

鱒池亭の前を流れる奥山川の上流には、奥山愛宕あたご神社や青山高原といった観光地がある。この鱒池亭はそこへの行楽客を相手に食事や宿を提供していたと言われる。

青山高原ウインドファーム

(▲ 現在の青山高原の様子。当時この風車はなかった)

看板料理はその名の通りマスなどの新鮮な川魚を使った和風膳だった。しかし上述の観光地があまりメジャーではなかったことから、時代が下るにつれ他の有名観光地に負けてしまい、客足は遠のいた。

また、一説にはここの売りでもあった天然の川魚が獲れなくなったため廃業したとも言われる。

1-2. 鱒池亭での事件・心霊現象

赤い心霊の森(イメージ)

閉業して廃墟となった鱒池亭は、その後心霊スポットとして祭り上げられる。特に言われているのが、一家心中した経営者家族の霊が出るというもの。

また、経営者の男がお手伝いの若い女性と不倫関係になり、子供ができてしまったという話も有名。愛していたはずの男に子供を産むなと突き放されたその女性は、この世の全てを呪いながら入水自殺したという。

そして彼女の怨念は今も消えることなく、この旅館をさまよっていると言われる。

2. 実際に行ってみた

鱒池亭の看板と獣道

寂しい山道を進んでいくと、道路脇にボロボロの看板が現れた。昔はここに「鱒池亭」と書かれていたらしいが、今では文字のあった所が崩れて無くなってしまっている。

ここから右手に伸びる獣道の先に、その鱒池亭があるはずだ。

木々の間から見える鱒池亭

いったん看板を通り過ぎ、木々の間から廃墟がその方向にあるのを確認する。道は確かにあれで間違いなさそうだ。

奥山川に架かる橋

しかし、行く手にはこの非常に風流な橋が現れた。廃墟は川の向こう側にあり、どうしても川は渡る必要がある。だがこの晩秋のクソ寒い時期に、素足で渡河などしたくない。

ためらうように辺りを見回し、やはりこの橋しかないと腹をくくる。慎重に足を乗せてみると、橋は意外としっかりしていた。私はゆっくりと歩を進めていき、無事に向こう側まで渡ることができた。

鱒池亭の外観

そしてついに鱒池亭の目の前までたどり着いた。なかなか雰囲気のある廃墟じゃないか。さすがに有名な心霊スポットだけあって、夜中に来たらけっこう怖そうだ。

斜面の上の方へと続いていく廃墟

向かって右手の山側の斜面にも、建物がへばりつくようにして建っているのが見える。

鱒池亭の正面玄関付近

では、いよいよ中へと入ってみよう。

鱒池亭の正面玄関を建物内から振り返って見たところ

入口から入ってすぐ、玄関を振り返って見たところ。

下駄箱の上の丸窓

下駄箱の上の丸い窓がオシャレ。

2階へと続く階段

玄関のすぐ右手には2階へと続く階段がある。上の方の踏み板がなくなっているが、がんばって登ってみよう。

巨大な岩が配された2階の部屋

階段を登り切ってすぐ、2階の部屋を見たところ。部屋の中に巨大な岩が大胆に配置されている。これに登って遊ぶ小さな子供と、それを叱る親の様子が目に浮かぶようだ(笑)

平たく積み上げられた石

廊下の横にも、このように石が積み上げられている。

鱒池亭の本館内の大浴場

そして本館の大浴場にも、湯船の中に大きな岩がドンと置かれている。どうやらこの鱒池亭は、栃木県にある廃墟「大谷グランドセンター」のように、天然石にこだわった内装をコンセプトにしていたようだ。

本館大浴場の窓からの景色

大浴場の窓からは、そばを流れる奥山川の清流が楽しめる。また、対岸にはもう一つ大浴場と思しき離れが見える。

本館裏手の水道設備

本館を通り抜けて敷地の裏手まで来た。この機械で温泉を供給していたのだろうか。

本館裏手の和式庭園。黄色く染まった楓の葉が美しい。

さらに奥まで行くと、そこには古い庭園の跡があった。黄金こがね色に染まったかえでの葉が美しい。

池の跡と鹿の頭骨

庭園の池のほとり。動物のむくろが、枯れた景色に哀愁を添えている。

庭園の階段と楓

倒木に覆われる古びた石段。この先には何もなさそうだ。

奥山川の紅葉

陽は遠く山の向こうへと隠れてしまった。足早に暗くなってゆく森の薄闇に、モミジの赤が燃えるように浮かび上がっている。

あおく冷たい川の流れは、体を芯から凍らせるような山奥の空気を運んでくる。まるで、本当に幽霊のひとつでも出そうな雰囲気だ。

【廃墟Data】

状態:健在

難易度:★★★☆☆(普通)

駐車場:なし

所在地:

  • (住所)三重県伊賀市勝地 付近
  • (物件の場所の緯度経度)34°41'30.0"N 136°13'36.1"E
  • (アクセス・行き方)
    【自家用車】名阪国道「上柘植かみつげIC」より、伊賀コリドールロード経由で約30分(24km)。