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翁島ペンション

1. 概要

翁島ペンション(おきなじまペンション)とは、福島県猪苗代町にあるペンションの廃墟である。ここは「幽霊ペンション」「お化けペンション」などとも呼ばれ、心霊スポットとしては全国区の知名度を誇る。一説には200体以上の霊がはびこる、東北地方最悪の心霊スポットともされている。

1-1. 翁島ペンションの歴史

翁島ペンション付近の航空写真(1976年撮影) 翁島ペンション付近の航空写真(1976年撮影・解説付き)

(▲ 建築当時の翁島ペンションと、保養地が計画されていた土地の範囲 - 国土地理院「耶麻郡猪苗代町」の航空写真(1976年撮影)を元にブログ筆者が作成。境界線は左右に移動可能。)

翁島ペンションは、昔このあたり一帯で計画されていた保養地向けの施設のひとつだったと言われている。しかしその計画は途中で頓挫とんざし、建てられたのは結局このペンションただ一棟のみであった。

この廃墟には不明な点が多く、廃墟化した正確な年はおろか、完成後に実際に使われたのかどうかすらもよく分かっていない。かつては「個人所有の別荘だった」と言われていたこともあるが、役所での登録は「宿泊所(商用施設)」となっていることが分かっており、現在ではその説は否定されている。

またその名に反して、このペンションがあるのは猪苗代湖に浮かぶ翁島の上ではない。しかも翁島からはやや離れた場所に建っており、ペンション付近からは島はおろか湖すら見ることはできない。翁島周辺にあると誤解して迷う探索者は多いので注意したい。

1-2. 翁島ペンションでの心霊現象

霊がいた方向を指さす番組キャスト(稲川淳二 真相・恐怖の現場 ~禁断の地再び~ VOL.3 より)

(▲ ペンション内で霊がいた方向を指さす番組キャスト - 稲川淳二 真相・恐怖の現場 Vol.3 より引用。法律上の権利保護のため一部をモザイク修正済)

この廃墟は昔から心霊スポットとしてよく知られていた。ここには猪苗代湖で亡くなった人たちの霊が集まるとされ、そのあまりの霊障にあるテレビ番組では霊能者がここへ入るのを拒否したと言われる。そしてそのエピソードと共にこの廃墟が稲川淳二氏の心霊DVDで紹介されるなどして、ここは超が付く有名物件になっていった。

この廃墟で最も有名なうわさは「地下のワインセラーでオーナーが首吊り自殺をした」「それを見た妻が発狂して、息子を殺害した」という一連の事件にまつわるものだ。地下室への入口は1階の暖炉付近にあったらしいが、現在では入れないよう完全に埋められてしまっているという。

また、稲川氏の霊視によるとこのペンション内はこの世ではなく「あの世」であり、そのため幽霊がいすぎて逆に気が付くのが難しいとのこと。それでも先述の暖炉付近では、かなり霊の目撃証言が多いようだ。

……とは言うものの、私がこの番組を見て一番怖かったのは稲川氏自身の顔である(完全に本気マジだし目がギョロついてて怖い)。肝心の霊の方は、正直よく分からなかった。しかし霊感の無い私にとって霊的なことをこうやって丁寧に解説してくれるのは、とてもありがたかった。

2. 実際に行ってみた

翁島ペンション(幽霊ペンション)へと続く、紅葉の獣道

この獣道の先に、うわさの廃墟はある。

霧の立ち込める怪しい森の中にたたずむ翁島ペンション(幽霊ペンション)

しばらく道を進んでいくと、木々の間から白っぽい建物が姿を現した。

周囲には怪しい霧が立ち込め、「幽霊ペンション」の名に恥じない不気味な雰囲気を漂わせている。

真正面から見た翁島ペンション(幽霊ペンション)の外観

建物の真正面まで来た。中世ヨーロッパ風の木骨造もっこつぞうの外観が、まるで異国の廃墟に迷い込んだかのような錯覚を覚えさせる。

翁島ペンションの2階中央部分のクローズアップ

建物の中央上付近をアップで見たところ。窓枠も非常に凝った造りなのがうかがえる。

翁島ペンション前の街灯。蔓がグルグルに巻きついている。

廃墟前の朽ちた街灯には極太のつるが巻きつき、心霊スポットらしさを演出してくれている。

翁島ペンション(幽霊ペンション)の正面出入口。扉の奥には暖炉が見える。

さて、いよいよ建物の中へと入っていこう。行く手のすぐ先にはもう暖炉が見えている。

翁島ペンション(幽霊ペンション)の1階の暖炉

この暖炉前が、翁島ペンションで最も有名な場所である。アーチ状に積み上げられたレンガが、なんとも言えない独特の雰囲気を放っている。

ネット上の様々な体験談ではこの暖炉付近が最もヤバいとされ、稲川氏も暖炉の右上あたりで幽霊を目撃している。ここが翁島ペンションで最も霊が集まりやすい場所だと見て、まず間違いないだろう。

ちなみにこの付近にあったとされるオーナーが自殺した地下室への入口だが、やはり完全に埋められているのか筆者の探索時には見つけられなかった。

暖炉の奥の壁に取り付けられた照明器具

暖炉を囲むレンガには、オシャレな照明が取り付けられている。そしてそのレンガもただ積み上げているのではなく、一部をずらすことで模様がつけられている。「オーナーこだわりの暖炉周り」といったところだろう。

暖炉付近から見た2階へと続く階段

暖炉に向かって右手方向のレンガの裏には階段が見えるが、まずは1階から探索していこう。

1階の暖炉前から見た翁島ペンションのエントランス

暖炉部屋から建物の入口を振り返って見たところ。外界の紅葉が美しい。

1階の奥へと続く狭い通路

階段の横から1階の奥へと続く、細長い廊下。

1階の床に溜まった落ち葉が腐葉土となり、その上にシダ植物が生えている。

降りつもる落ち葉とシダ植物によって、廊下の扉はもはや機能していない。

翁島ペンションの1階南西側の部屋

開放感あふれる1階の部屋。天井は完全に抜け落ちており、2階の部屋が事実上消滅してしまっている。

1階の窓から侵入してくる紅葉した木の枝

木々の枝は容赦なく窓から侵入してくる。

「額装の窓」(翁島ペンション1階・Yuki Shinozaki 2022)

窓から見える風景が、まるで壁に飾られた一枚の絵画のようだ。当時この目の前の木は生えていなかったのだろう。

翁島ペンションの1階の浴室(西側)

西側の浴室。

翁島ペンションの1階の浴室(東側)

もう一方の東側の浴室。こちらは広角レンズで撮っているため西側よりもかなり広く見えるが、男女でどちらかが極端に狭いといったことはなかったようだ。

また、狂った母親が子供を殺した現場が浴室だと言われているが、稲川氏は明らかにこちらの方が怪しいとにらんでいた。

浴槽の中には木片や木の葉が浮かび、水面には雨滴が波紋を作っている。

この浴槽の水面には苦しんでいる人の顔のようなものが浮かぶというが、果たして……

翁島ペンション(幽霊ペンション)の2階へと続く階段

それでは、満を持して2階へと上がろう。

階段から見た2階の東側の部屋

階段を上っていくと、2階も1階に負けず劣らず風通しがかなり良いのが見て取れる。

翁島ペンションの2階のトイレ前付近

2階のトイレ付近。

崩壊して電気のスイッチだけが取り残された2階の壁

どこもかしこも崩壊具合がすさまじい。ここなど壁がすっかり無くなって、電気のスイッチだけがとり残されている。

2階の回廊から見下ろした1階の暖炉付近

現役当時は暖炉を囲むように2階の廊下に手すりがあったはずだが、今ではそれすらも無くなっている。夜中の探索などは気を付けなければいけない。

翁島ペンションの2階の部屋

2階はほとんど床が抜け落ちていて、まともに入れる部屋の方が少ない。この部屋の窓の外には針葉樹林が広がり、一面の緑になっている。

「額装の窓」(翁島ペンション2階・Yuki Shinozaki 2022)

一方、こちらは見渡す限りの広葉樹林だ。黄色に枯れた秋の景色が、朽ちた窓枠と見事に調和している。

【廃墟Data】

状態:健在

難易度:★★☆☆☆(低)

駐車場:なし

所在地:

  • (住所)福島県耶麻郡猪苗代町磐根大神 付近
  • (物件の場所の緯度経度)37°32'48.5"N 140°03'32.5"E
  • (アクセス・行き方)
    【自家用車】磐越自動車道「猪苗代磐梯高原IC」より、国道49号線経由で約10分(7km)。
    【公共交通機関】JR磐越西線「翁島駅」にて下車、駅より徒歩約10分(850m)。