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ポプラ病院

概要

ポプラ病院とは静岡県三島市にかつてあった老人病院の廃墟である。今では取り壊されて、跡地は家電量販店「エディオン」の駐車場になっている。

廃病院でありがちなのは、恐怖をあおるためにありもしない事件や事故をねつ造されることだ。しかしこのポプラ病院は本当に「ある事件」をきっかけに閉鎖している。

それが平成3年(1991)に発覚した医療費の水増し請求事件である。病院が不正に受け取った総額は6000万円超にも上った。具体的には軟膏を何百キロも使ったように見せかけたり、架空の診察や処置をでっちあげたりしていたという。

この不祥事により、院長であった島崎寿一氏は6ヶ月の医業停止処分となり、ポプラ病院は保険医療機関の指定を取り消されてしまった。これは病院にとって事実上の死刑宣告であり、入院患者は次々と転院。地域住民の信頼も地に落ち、ポプラ病院はあえなく廃院となった。

解体前の探索記録

ポプラ病院の外観

ポプラ病院の目の前まで来た。2階建てのあまり大きくない病院だ。

ここは病気や怪我をして駆け込む一般の病院ではなく、いわゆる「老人病院」というやつで、満足に動けなくなった高齢者を入院介護するための施設だった。

ベッド数は73床で、病院としては小規模の部類に入る。

ポプラ病院の正面玄関前

正面玄関前。ひさしには「ポプラ病院」と書かれている。しかしその可愛らしい名前とは裏腹に、ここがとんでもない拝金主義の病院だったことは記事冒頭でも触れた通りだ。

ポプラ病院の正面玄関

正面から入って、玄関を振り返って見たところ。

ポプラ病院の玄関横の部屋

玄関の隣には、ポプラ病院の廃墟で一番有名だったこの部屋がある。その理由は……

「すべては、患者さんのために 心に愛を、気くばりを」と書かれた看板

奥の壁に掲げられた、この看板のためだった。「ヒトじゃなくカネしか見ていなかった連中が何を言うか」と当時はちょう笑の種だった。

しかも廃墟化後にとあるブログにて、入院患者の個人情報を地域の寺に売り渡していたらしい痕跡すらも明るみになった。寺にとっては近い将来に葬式などで収入源となり得る見込み客リストであり、そこに「営業」をかければ寺も効率的に儲かるのでWin-Winというわけだ。

老人たちを食いものにし、その死さえも心待ちにして金に換えるという身の毛もよだつ光景がここにはあった。

ポプラ病院の1階廊下

玄関から建物の奥へと伸びる廊下。ここには主に診察室や厨房、浴室などが並ぶ。

ガラスが割れて椅子だけが残された1階の部屋

廊下の一番奥の部屋。中には長椅子くらいしかなく、窓ガラスもバキバキに割れている。

ポプラ病院の患者浴室

向かいには浴室があった。割れたガラス窓からは介護用の浴槽が見える。

ポプラ病院の厨房

こちらは厨房。用意する食事は最大で72人分+職員分なので、やや狭い気はするが広さとしてはこんなものだろう。

ポプラ病院の階段

これにて1階の探索は終了。次は病室の並ぶ2階へと進もう。

ポプラ病院の2階廊下

2階の廊下。当時は老人病院の数がまだ少なかったので、このポプラ病院もほぼ満床だったと思われる。しかし全てから愛想をつかされた今、この廊下にかつての賑わいはない。

ポプラ病院の2階病室前

病室の出入口付近。天井のこれは非常口の掲示だったと思われるが、ボコボコに破壊され珍妙な形になってしまっている。

ポプラ病院の2階の病室

病室の中。2階の部屋はどこもこんな感じで、ベッドなどの備品はほとんど残されていなかった。

【廃墟Data】

状態:解体済

難易度:―

所在地:

  • (住所)静岡県三島市安久
  • (物件の場所の緯度経度)35°05'03.8"N 138°55'52.3"E
  • (アクセス・行き方)
    【自家用車】伊豆縦貫自動車道(東駿河湾環状道路)「函南かんなみ塚本IC」より、国道136号線経由で約4分(2km)。