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明野劇場

1. 概要

明野劇場(あけのげきじょう)とは、茨城県筑西市にあるストリップ劇場の廃墟である。この種の廃墟は数が少なく貴重なことに加えて、似たようなアングラ感のある趣味である「廃墟」とは親和性が高いためか、廃墟マニアには昔から良く知られた有名な物件である。

明野劇場の開業はストリップ華やかなりし高度経済成長期のさなか、昭和40年代のことであった。なお、当初は特に18禁ではない大衆演劇用の芝居小屋だったらしい。それがストリップ劇場として歩み始めてからはかなりの賑わいを見せたようで、最盛期には当時名をせた「一条さゆり※1」や「愛染恭子※2」などの超有名ストリッパーも出演したという。それを聞きつけた大勢の男性客が、何台もバスに分乗して劇場に詰めかけたと言われる。

しかし時代の経過と共にストリップそのものが下火になると、明野劇場も他の多くの劇場と同じく経営不振に陥った。そして平成6年(1994)6月には、警察の摘発により営業停止処分に。その後営業が再開されないまま、翌年1月には不審火によって施設がほぼ全焼した。それ以降劇場が再建されることはなく、そのまま閉鎖となってしまった。

現在ではその焼けただれた姿から「黒焦げのエロス」などと呼ばれ、廃墟マニアや心霊マニアたちに親しまれている。

2. 実際に行ってみた

明野劇場の外観

明野劇場の目の前までやってきた。令和5年(2023)現在では「明」の字以外は看板が落ちてしまっているらしいが、私の探索時はまだかろうじて全ての文字が読み取れた。

明野劇場のストリップ部屋全景

小さな劇場なので、受付を抜けるとすぐストリップの舞台が見える。ちなみに入場料は5000円で、平日昼間なら1000円の割引があったらしい。

ストリップと言えばこの中央に飛び出した円形の舞台が特徴的だが、これは通称「でべそ」と呼ばれる。ストリッパーの踊りをできる限り多くの人に色んな角度で楽しんでもらうための工夫というわけだ。

かぶりつき(クローズアップ)

そしてその「でべそ」真横の最前列の席を「かぶりつき」と言うらしい。ストリッパーの裸体を間近で見られる特等席である。基本的には早い者勝ちだったため、開演前にはこの席を巡って受付に行列ができたとか。

崩壊したかぶりつき席

反対側の「かぶりつき」は、私の探索時ですでに火災によってほぼ原型を留めていなかった。今では他の座席もたいぶ劣化が進んで傷みが激しいと聞く。

照明の取り付け跡が並ぶ舞台袖の出入口

舞台の上手側には演者の出入口と思われる舞台装置が焼け残っていた。周囲をびっしりと埋めているこの丸いのは、恐らく電球の取り付け口の跡だろう。ビカビカときらびやかな営業当時の様子が思い起こされる。

2階の舞台装置制御室

2階には舞台装置を操作する制御室があった。

制御室から見た1階のストリップ場

制御室の窓からの眺め。舞台のある1階の様子がよく見渡せる。

明野劇場のでべそとかぶりつき

なお、この明野劇場では15分5000円の追加料金で、ストリッパーと別室で生本番ができたらしい(※爆サイ情報※3)。まさにストリップの黄金時代といった所であるが、法的には完全にアウトなわけで、これでは警察による摘発もやむ無しだろう。昭和ならまだ官憲への心付けも効果があっただろうが、さすがに時が平成となればそうもいくまい。

現在ではAV機器やインターネットの普及により、ストリップのような(原則的には)見るだけのエロスは、それらにすっかりお株を奪われてしまった。この明野劇場の時代のように、再びストリップが日本で持てはやされることはもうないだろう。

世の中の時間軸から取り残された「昭和」という時代の残り香──それをかすかに感じることのできる貴重な存在が、この明野劇場という廃墟なのだ。

【廃墟Data】

状態:火災による痛みが激しい

難易度:★☆☆☆☆(最低)

駐車場:なし

所在地:

  • (住所)茨城県筑西市新井新田74
  • (物件の場所の緯度経度)36°15'31.2"N 140°01'14.2"E
  • (アクセス・行き方)
    【自家用車】北関東自動車道「桜川筑西IC」より、国道50号線→県道7号線→県道14号線経由で約30分(17km)。