「銚子に廃墟があるらしい」と、現地をよく知る友人から情報提供があった。そして今日はその友人を案内役に、バイクで二人乗りして銚子市までやってきた。
友人と共に、犬吠埼の北側の浜へと降り立つ。
季節はまだ5月だが、波打ち際では健全な若者たちが夏を待てずに海遊びを楽しんでいた。
そして不健全な我々の目的は当然、海ではなく廃墟である。実はもう、目的の廃墟は見えている。
うわさの廃墟の前までたどり着いた。
それにしても「男塾」だなんて面白すぎる通り名だ。これはこの建物のとある部屋の一室に剣道着一式が残されていたので、そう呼ばれるようになったらしい。
(▲ 参考画像:アニメ版「魁!!男塾」第一話入塾式より、筆頭教官「鬼ヒゲ」)
「魁!!男塾」での男塾とは、全国の不良高校生を集めて大和魂を注入するための全寮制学校だ。この廃墟も健全な青少年の育成を目的とした特別な教育施設だったらしく、見た目も寮っぽいので「男塾」と呼ばれるようになったのだろう。
しかし結局、今回はその剣道着一式を見つけることはできなかった。
さっそく中へとお邪魔する。厳しい浜風と繰り返される人為的破壊によって、内部は無残な姿となっていた。
金属製品は潮風により──
もろくなった壁は人の手により──
──ことごとく破壊されていった。
そんな中、キノコ達だけは生命を育んでいた。
湿った畳には、いろいろな種類のキノコが生える。
これは「一晩で溶けてなくなる」というヒトヨタケだろうか……? 一週間ほど酒が飲めない体にされる(分解酵素をダメにされる)ものの、一応は食えるらしい。
瓦礫から顔をのぞかせる、小さく健気な命のかがやき。
203号室の内部。部屋はどこも基本的にこんな感じ。
しかし窓を塞ぐ板さえ無ければ、この見事なオーシャンビューである。まったく贅沢な部屋だ!
それでは、そろそろおいとましますか。
近くの海岸沿いを走る道は、ツーリングを楽しむバイクがひっきりなしに行き交っていた。天気もいいし、風が気持ちいいもんなぁ……
さて、我々もバイクに乗って帰るとしますか。
探索年月日:2008年5月6日