南国沖縄のエメラルドグリーンの海、透き通った湖──青々とした山々を見下ろす絶景に建てられたリゾートホテルの廃墟「サンセットビューインシャーベイ」。
エントランスから入り、まず目に付くのはこの壁一面のオブジェ。舞台が廃墟となり、さらに異様さを増した。
ロビーでは、もはや永遠に訪れることのない客人を椅子が待ち続けていた。
エントランスの右手には、カフェテリアがある。
使わない机や椅子は、整然と片付けられている。
ここで楽しく語らう者は、もうどこにもいない。
2階の宴会場「湖上の間」。
かつて人が大勢いたはずの場所に今は誰もいないというのは、何度体験しても不思議な感覚を覚える。
この部屋の絨毯の上には、ガラスの破片が無数に転がっていた。
原因は天井のこいつだろう。部品のいくつかが抜け落ちている。
これが落下してくるのか……と思うと、撮影中は全く良い気分はしなかった。
いまいちスケール感が伝わらないので、十円玉を置いて比較してみたが、思いのほか大きくて驚く。成人男性のこぶしほどはあるだろう。重さもかなりある。
宴会場の一角には、非常にシュールな光景が広がっていた。
これは助からない。
自分の鼓動以外には、何も聞こえない場所────